田久保市長、斎藤知事、石破首相…「潔く辞めないトップ」が増えているのはナゼか 変化する日本人の「引き際の美学」に迫る
静岡県伊東市の田久保眞紀市長は9月10日、中島弘道議長に市議会の解散を通知した。田久保市長は東洋大学を除籍されたにもかかわらず、市の広報誌が法学部卒と記載。これを百条委員会が“学歴詐称”と結論を下し、市議会は9月1日に地方自治法違反容疑で刑事告発すると共に不信任案を可決していた。
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ところが不信任が議決されても田久保市長は失職を選ばず、議会の解散を決めた。このため伊東市では40日以内に市議選が行われる。選挙後の市議会で再び不信任案が可決されると田久保市長は失職し、次は出直し市長選が行われる。
そして昨今、田久保市長のように「問題を引き起こしたり、疑惑が取り沙汰されたりしても辞めないトップが増えている」との声がネット上などで目立つ。担当記者が言う。
「例えば兵庫県の斎藤元彦知事です。県の第三者委員会はパワハラや公益通報者に対する違法な取り扱いを行ったと認定しました。これは重大な不祥事であることは言うまでもありません。『即刻の辞任に値する』との見解を述べた識者もいたほどです。ところが斎藤知事はパワハラについては謝罪しましたが、公益通報に関しては『当時の判断としてはやむをえない適切な対応だった』と反論。現在も知事として職務を遂行しています」
サントリーホールディングス(HD)の会長は辞任するが、経済同友会の代表幹事としての活動は当分、自粛する──責任を取って身を引くのか引かないのか、微妙な姿勢を見せたのは“日本を代表するプロ経営者”として知られる新浪剛史氏だ。
会長と首相の出処進退
「大麻由来の向精神薬が違法な割合で含まれているサプリを送られたとして、福岡県警は8月22日に麻薬取締法違反容疑で新浪氏の自宅を家宅捜索しました。尿検査の結果は陰性で、違法薬物も発見されなかったものの、サントリーHDは『一身上の理由により辞任したいと申し出があった』と新浪氏が9月1日付で退任すると発表したのです。ところが新浪氏は3日、経済同友会の代表幹事として記者会見に出席すると『警察から捜査を受けた会長・社長は絶対に辞めないといけないのか。私はそういう前例を絶対つくってはいけないと思った』と反論。代表幹事としての進退は同友会に委ねることを明らかにしました」(同・記者)
最終的には辞任を表明したが、そこに到るまでの紆余曲折が国民の毀誉褒貶を巻き起こしたのは石破茂首相だ。
「参院選は7月20日に投開票が行われ、自民党は大敗しました。これで石破首相が就任してから衆院選、都議選、そして参院選で3連敗となりました。党内からは責任を問う声が相次ぎ、いわゆる“石破おろし”が吹き荒れます。ところが石破首相は粘りに粘ります。世論も『辞めるべき』という意見と『辞める必要はない』という意見が拮抗し、一時期は衆院解散まで取り沙汰されました。しかし石破首相は最終的には説得を受け入れ、9月7日に辞任を表明したのです」(同・記者)
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