「転売」「投資」ばかりが話題になる「ポケモンカード」の実は奥深い魅力…コレクターが語る「イチ押し作家がイラストを描いたカードをコンプリートしたい」

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 今や日本のみならず世界中で親しまれている「ポケモンカードゲーム(以下、ポケカ)」。マスコミやネットでは何かと転売や投機と紐づけて語られることが多いが、大人から子供まで気軽にプレイできることからカードゲームとしての完成度はトップクラスと評価されている。

 ポケカの魅力は、プレイするだけでなく、カードをコレクションして楽しめることだ。そもそも「ポケットモンスター」のゲーム自体が、ポケモンを集めて戦うという趣旨である。ポケカがコレクションと親和性が高いのはそのためで、世界中にコレクターがいるのも納得だろう。【文・取材=山内貴範】

ショップで目にしたポケカに釘付け

 ポケカをコレクションする楽しみとは、どのようなものだろうか。好きなポケモンにこだわって、例えば、既に世の中に出回っているピカチュウのカードをコンプリートするのも一興だ。ほかにも、カードのビジュアルを担当したイラストレーターに注目し、コレクションするのも魅力的なのだという。

 今回話を聞いた、東京都在住のoceanic noise(オーシャニックノイズ)氏(50)
はポケカのコレクター。一押しのイラストレーターである西田ユウ氏が描いたカードを集中的にコレクションし、その枚数は色違いなどのバリエーションを含め、220枚をゆうに超えるという。

 oceanic noise氏はもともとカードゲームが好きで、1990年代には「マジック:ザ・ギャザリング」などをプレイしていた。意外にも当時はポケカと縁がない生活を送っていたというが、2021年に友人の子供が遊んでいたので、お土産に買ってあげたのを機に、カードゲームへの情熱が再燃した。

 ある日、カードショップのショーケースで品定めをしていると、“モミ”というキャラクターのポケカに目が釘付けになった。

「緑色の色使いや、木漏れ日の光などが優しい雰囲気で、一目で好きになったんです。当時も決して安くないカードでしたが、本当にかわいいなと思い、1枚買ってしまいました。このモミを描いたイラストレーターが、西田ユウ先生だったのです。

 それまで西田先生の名前は知らなくて、目に留まったのも偶然でした。でも、調べてみたら、他のカードも素晴らしいものばかりで、自分好みのイラストを描く方だと思いました。特に、西田先生が“第1回ポケモンカードゲーム イラストグランプリ”に応募した、サーナイトの独特の色使いに引き込まれました」

西田氏の展示会を訪れる

 以来、西田氏が描いたポケカにこだわって本格的に収集を開始。現在は国内で発売された、西田氏が関わったほぼすべてのポケカを所有している。そのうえ、海外版のポケカまでも入手する徹底ぶりである。

「海外版はカードショップで見つけたら買うようにしています。先ほどのモミは、英語版、イタリア語版、韓国語版なども持っているのですが、色合いなど微妙なところが違う。イタリア語版は日本語版よりも、緑が濃く印刷されているんですよ。カードの表面の加工も違っていたりします。

 日本で発売されているポケカも、過去に販売されたカードが別のパックに再録されたとき、紙質や表面のつやが微妙に違っていたりする。そういった違いにまでこだわってコレクションするのが楽しいですね」

 2023年には、宮城県仙台市で行われていた、西田氏が参加する絵の展示会にも足を延ばした。会場では初めて西田氏と対面。西田氏がオリジナルキャラで製作したプレイマット(注:カードゲームを遊ぶためのマット)に、イラストを添えたサインももらうことができた。その時の印象をこう振り返る。

「ネットの記事で西田先生の顔を拝見していましたが、会ってみると、描いているイラストのイメージ通りで、やわらかく、優しい雰囲気の方でした。また、会場に展示されていた手描きの絵も素晴らしかった。カードで印刷されていたデジタルの絵とは違う、手描きの質感を目にして感動しました」

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