「転売」「投資」ばかりが話題になる「ポケモンカード」の実は奥深い魅力…コレクターが語る「イチ押し作家がイラストを描いたカードをコンプリートしたい」

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西田氏が描いたイラストは最高の癒やし

 2024年、西田氏の出身地である秋田県で原画展が開催されたときは、仕事の休みを取り、東京から車で駆けつけた。そして、販売されていた絵の購入を即決した。

「この時に展示されていた絵は、仙台市で初めて見て、感激したオリジナルの作品です。ぜひ、買わせていただきたいと思いました。私はこういった原画を買ったことがなく、正直、覚悟が要る価格でしたが、本当にいい買い物をしたと思っています。

 自宅の壁に飾って毎日癒やされていますし、見ていると元気が出てくるんです。西田先生の優しい性格が絵のタッチにも表れていると感じますね。もちろん印刷された絵もいいのですが、原画でしか味わえない魅力があると思います」

 oceanic noise氏は、西田氏が描くポケカに引き付けられる理由をこう話す。

「ポケモンはもちろんですが、登場する女の子も男の子も本当にかわいらしい。そして、西田先生は様々なタッチの絵が得意なのです。例えば、海外版の“クララ”のカードは、少し暗めの独特の雰囲気がある。西田先生の違った一面が見られる、お気に入りの一枚です」

ポケカは誰でも楽しめる最高のカードゲーム

 ところで、これは筆者も反省すべき点だが、マスコミがポケカを取り上げる際、投機や転売などのネガティブな面ばかりが強調されることが多い。oceanic noise氏に、ポケカの魅力を聞いてみた。

「昔やっていた『マジック:ザ・ギャザリング』は基本的に強いカードが高価で、そろえるまでが大変でした。ポケカは、いわゆるノーマルカードと、レアなフルアートカード(注:絵が大きく描かれるなどの特別な仕様のカードで、枚数が少ないものが多い)で強さや効果は同じ。つまり、純粋にゲームをするだけならお金をそれほどかけずに遊べるのです。

 それゆえ、ポケカは初心者でもベテランに比較的勝ちやすく、入っていきやすいメリットがあると思います。私は断然弱いのですが……(笑)。でも、好きなポケモンを入れてデッキを組むのは純粋に楽しいんですよ。私は公式大会に、西田先生のカードを中心にデッキを組み、出場したことは何度もあります」

 ポケカの楽しみ方は人それぞれだと話す。コレクションをしたい人は、珍しいカードや高価なカードを買ってもいい。イラストレーターにこだわるほかに、好きなポケモンのカードを何枚も集める人もいる。全種類を集めるのは極めて難しいものの、好きなテーマに沿って集めることができるのは魅力だろう。

「ポケカは強くなくても楽しめるカードゲーム。私はポケカのコミュニティに参加して、知り合った人と一緒に大会に出たり、飲食に行ったりするのが楽しいですね。

 それこそ、ポケカを集めていなければ知り合えなかった関係もあります。嬉しいのは、知り合った人からカードを譲ってもらったとき。売ればそれなりにお高いのに、“西田先生のカードが出たよ”と、わざわざ私に声をかけて譲ってくれる(笑)。ファンのあたたかさを感じますし、トレーディングカードゲームの醍醐味と感じます」

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