安過ぎる牛丼はいつまで「ワンコイン」を維持できる? 「インバウンドの人たちはあまりの安さに目を丸くする」

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かつては高級路線も

 とはいえ、牛丼屋も、これまで手をこまねいていたわけではなかった。

「吉野家にはかつて、高級路線の店舗が赤坂にありましたが、いつの間にかなくなりました。デフレの象徴のようにいわれる牛丼チェーンも、ここ20~30年、デフレと闘ってきたのです。が、外食業界全体の構造の中で、それで十分に集客できて利益を確保する、という形にはなっていかなかったわけです」(熊野氏)

 突き詰めると、日本経済の根深い問題が浮かび上がる。

「現在日本には、リッチな外国人がたくさん訪日している一方で、年金生活者や経済的に余裕のない高齢者が非常に多く、需要のあるデフレ型のビジネスが続いています。原材料や人件費の上昇率に追いつくぐらい牛丼を値上げしても客に許容され、牛丼チェーンの経営が健全に続けられるためには、年金を上げる、賃金上昇の流れを作るなどの、根本的な解決が必要です」(同)

 並盛の牛丼に、日本の課題が特盛のようである。

週刊新潮 2025年9月11日号掲載

特集「物価高騰でも『すき家』は30円値下げ 安すぎる牛丼“並盛”が500円を超える日は来るか」より

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