加藤ローサの離婚で「デキ婚」の危険性に思いをはせて心配する50代母親に投げかけた言葉

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夫婦になる前に「パパとママ」になってしまう危うさ

 目の前の相談者には、ざっとこんな感じでライフサイクルの説明をしました。彼女はため息をつきながら思いを言葉にします。
 
「私の娘は『デキ婚』をしたので、『夫婦の成立期』がうまく過ごせていないんですね。よく分かります。娘の夫は、今でも独身の頃と同じように自分のしたいことだけやって、育児にも協力してくれないみたいです」
 
 デキ婚が失敗しやすい理由は、「成立期」に夫と妻がお互いの好みや価値観の擦り合わせを行う以前に、おなかにいる赤ちゃんに好ましい食事をしたり、胎教にいい音楽を聴いたり、ということになり、「夫と妻」の関係性を構築できないまま「親」となってしまいやすく、それが将来の離婚の遠因となる場合があるからです。
 
 また、おなかに赤ちゃんを抱えて過ごす女性と、結婚によって仕事や友人との関係が大きく変わることのない男性とでは、温度差があります。

 その温度差を埋めていく、あるいは、言葉できちんと伝えていく努力は必要となってきます。
 
 でも、どの時期にいても大切なのは「今、私たちにはどんな課題があるのか」を二人で理解すること。そして一緒に少しずつ乗り越えていこうとする気持ちです。デキ婚であっても、スタートが急ぎ足であっても、夫婦のライフサイクルは必ず訪れます。そのときどきの課題を二人で共有していけば、幸せな夫婦関係をきちんと築いていくことができますから大丈夫です。

デキ婚が悪いわけではない

 いま、娘さん夫婦に慣れないことやすれ違いがあっても、それは「その時期に用意された課題」です。

 夫婦は、最初から完璧に分かり合えるわけではなく、歩みながら少しずつ「夫婦らしさ」を育てていきます。意見がぶつかるのも、疲れて言葉が足りなくなるのも自然なこと。でも、そのたびに「どうすれば一緒に笑えるだろう」と考えていくことが、夫婦の歴史を豊かにしてくれるのです。
 
「では、私はどうしたらいいでしょうか?」
 
 一人娘さんがデキ婚からスタートしたことが不安なお母様は、娘さんに対して「どんな夫婦にも波があるかもしれない」と伝えてあげてほしい。さらに夫君には、彼が機嫌のいい時を見計らって「あなたは娘の大切な人生のパートナーですし、子供にとって大切な父親ですよ」と、あたたかく言葉をかけてあげてほしいと思います。
 
 夫婦のライフサイクルは、必ず先へ先へと進んでいきます。いまを大切に歩いていけば、二人はちゃんと次のステージに進めます。娘さんご夫婦の未来は、きっと安心できる、穏やかで幸せなものになっていきます。

 お母様自身が迎えた「夫婦二人に戻った回帰期」も、穏やかに、互いを慈しみ合いながら進められることを願っています。

池内ひろ美(いけうちひろみ)
家族問題評論家。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書多数。

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