加藤ローサの離婚で「デキ婚」の危険性に思いをはせて心配する50代母親に投げかけた言葉

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 離婚でイメージアップするというのは、比較的珍しいケースかもしれない。サッカー元日本代表の松井大輔との離婚を発表したタレント、加藤ローサに対しては、同情以上に前向きなコメントが並ぶ記事が目立っている(関連記事:「離婚発表として巧みな高等戦術」 なぜ加藤ローサに称賛の声が集まるのか 「出演番組で行ったことで炎上リスクを回避」)。

 一方で「親目線」から、今回の離婚に不安を感じた人もいるのだという。数多くの家族問題の相談に乗ってきた東京家族ラボの池内ひろ美氏の元をこの日訪れたのは、「できちゃった婚」の行く末に不安を感じるという50代の女性である。
(以下、池内氏の寄稿です)

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「加藤ローサさんが離婚しましたよね。あれは、やっぱり『できちゃった婚』だったからではないでしょうか。すごく心配です」
 
 着席するなり、息せき切って話すのは50代の女性です。暑い中いらっしゃったにもかかわらず髪の毛はきれいにセットされ、汗ひとつかいていらっしゃいません。上品な生成りの麻のブラウスにそろいのワイドパンツをはいています。ファッションセンスもいい。
 
「遠くからいらっしゃったんですか?」
 
「いいえ。タクシーで25分くらいです」
 
 なるほど。汗をかいていない理由は分かりました。
 
 ところで、加藤ローサさんの離婚が心配な理由は何でしょうか。

「加藤さんの離婚が心配なのではありません。心配なのは結婚のしかたです。彼女は独身の時に、元サッカー日本代表の松井大輔さんの子供を妊娠した『できちゃった婚(以下、デキ婚)』ですよね。でも、初めは結婚するつもりはなくて、一人で子供を育てるつもりだったのに、松井さんの度重なるプロポーズに負けて結婚したと聞いています。私が心配なのは、『デキ婚』は失敗するんじゃないかということです」
 
 加藤ローサさんの結婚プロセスにとても詳しいこの母親は、一人娘が昨年「デキ婚」をしたために、芸能人のできちゃった結婚に敏感になっているようです。そこから連想を膨らませて、娘さんも同じように離婚するのではないかと心配していらっしゃる。
 
「私の娘は今37歳ですが、とてもよく似た結婚をしています。ちょっと派手めな同世代の男性と、付き合っているのかいないのか、よく分からないうちに妊娠しました。それで子供を産みたいから結婚すると言って、結婚式も挙げないで、二人は私の自宅近くに、私が持っている小さなマンションの一室で暮らし始めました」
 
 それはおめでたいことではないでしょうか。
 
 50代富裕層の女性の一人娘が妊娠し、結婚して、孫が産まれて、家族三人で生活を送っている。お母様の持ち物であるマンションのため家賃の心配はないし、お孫様も健やかに育っている様子のため、心配なさることではないでしょう。

「でも、『デキ婚は壊れやすい』と、以前池内さんも雑誌のインタビュー記事で話していましたよね。それが心配なんです」
 
 たしかに。私は「デキ婚」の危険性を説いたことがある。しかし、それは「デキ婚イコール離婚への道」という意味ではない。このお母様を安心させるには、なぜ、デキ婚が壊れやすいのかを説明したおいた方がいいでしょう。

夫婦が経験するサイクルとは

 夫婦には「ライフサイクル」という流れがあります。
 
 出会って結婚し、子供を育て、やがてまた二人に戻る。その過程にはいくつもの段階があり、それぞれに乗り越える課題が用意されているのです。
 
 最初の「成立期」は、二人が出会い、恋をし、結婚して第1子が生まれるまでの時期を言います。

 結婚したばかりは二人で暮らすことに慣れる時期。別の家に育ち異なるしつけや教育を受けて育ってきた二人が共同生活を行うわけですから、日常のお金の使い方や休日の過ごし方、親との距離感など、小さな違いを調整しながら、二人の家庭を築いていきます。
 
 次の「拡張期」では、第1子の子育てが始まります。二人が初めて「親」となる時期です。夜中の授乳や育児と仕事の両立、夫婦の会話が減ってしまうことも多い時期です。第2子、第3子と子供が増えることで、家族は拡張します。このときに「夫と妻」ではなく「父親と母親」の役割ばかりになると、気付づいたときに心が離れてしまうこともあります。
 
 続けて「拡散期」では、子供たちが巣立っていきます。
 
 自宅をベースとして幼い頃から手をかけ世話をしてきた子供たちが、進学や就職、結婚などで家から外へ拡散していく時期です。
 
 それを迎えて「回帰期」となります。
 
 子供が成長し思春期を迎えると、家族の関係はもう一度組み替えられます。親は子供を手放す準備を始め、夫婦は「二人の時間」を取り戻していきます。
 
 夫婦二人で始まった結婚生活がぐるっと回ってまた夫婦二人に戻る時期です。
 
 その先に夫婦二人を待っているのは「交替期」です。
 
 結婚当初よりもむしろ穏やかで深い関係を育てることができます。「夫婦で一緒に老いていくこと」を受け入れ、慈しみ合うことができるかどうかが、この時期のテーマです。そうして次の世代と交替していきます。

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