【夏ドラマ・トップ10】1位の松潤は「ミラクル感」が出すぎた…テレ朝には「新刑事ドラマ」誕生

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医師の能力が高すぎた?

 松本潤(42)主演の「19番目のカルテ」はトップだが、TBS側はもっと視聴率が得られると踏んでいたはず。日曜劇場の前作「キャスター」の全回平均の個人視聴率は8.7%(世帯14.2%)、前々作「御上先生」も同7.3%(世帯12.2%)なのだから。かなり下がった。

 悪いドラマとは思わなかったものの、首を捻る部分はあった。第一に、松本が演じる徳重晃が、患者の病気や心情を次々と見抜いてしまうスーパー総合診療医だったことだ。

 実際に医師によって大きな技術差のある外科医なら分かるが、それ以外でのスーパー医師の登場はドラマ全体のリアリティを損ねてしまう。無理が生じる。そのうえ徳重が患者の心の中に入り込むという演出があったから、彼をミラクルな存在にしてしまった。

 一方、内科医・鹿山慶太役で出演した清水尋也容疑者(26)の麻薬取締法違反容疑での逮捕は、制作者側にも起用責任があるはず。共演者、スポンサーなどに迷惑が掛かり、ドラマのファンを落胆させたのだから、「本人以外に責任はない」では済まされない。

 清水容疑者はどのようなコンプライアンスチェック(法令違反などの確認)を経て出演に至ったのか。あるいは何もしなかったのか。これを検証し、公表すべきだ。ドラマ界の今後のためにもなる。

 日曜劇場の次回作は「ザ・ロイヤルファミリー」(10月12日)。人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語になる。主演は妻夫木聡(44)。佐藤浩市(64)らが共演する。

 テレ朝は水曜午後9時台で10年ぶりとなる新刑事ドラマ「大追跡」を成功させた。今後、数年は安定した視聴率が見込めるドラマが生まれたわけだから、大きい。

 大森南朋(53)が演じたワイルドな伊垣修二刑事と相葉雅紀(42)によるキャリア組・名波凛太郎刑事のコンビは愉快だった。

 相葉はなぜか演技力が過小評価されがちだが、若手時代から巧みな人である。映画で好演した。2024年には「橋田賞」も獲った。下手だったら獲れない賞だ。この2人に青柳遥刑事役の松下奈緒(40)を加えた3人主演はうまくいった。

 テレ朝は秋ドラマにも飛びきりの注目作がある。当代屈指の売れっ子である野木亜紀子氏(51)が脚本を書き、大泉洋(52)が主演する「ちょっとだけエスパー」(10月21日スタート、火曜9時)だ。宮崎あおい(39)が13年ぶりに民放連ドラに出演し、大泉のワケありの妻役を務める。

 大泉は会社をクビになった元サラリーマンという設定。ようやく就職試験に通るが、社長から「君には今日から、ちょっとだけエスパーになって、世界を救ってもらいます」と命じられる。社宅では会社の用意した妻の宮崎が待っていた。斬新な設定だ。

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