巨人よ、借金を背負っての阪神挑戦は恥ずかしい…鍵を握るのは戸郷と岡本、吉川の8番起用には反対【柴田勲のコラム】

  • ブックマーク

岡本復帰でいい方向に回ってきた

 残り試合は17。そのカギを握るのは戸郷翔征と岡本だ。エースと4番が活躍してこそチームは勢いづく。

 戸郷は2日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で6回を1失点で5勝目を挙げた。6四球と課題は残ったがなんとか粘った。3連戦の頭を取ったのは大きかった。

 5日の中日戦初戦(バンテリンドーム ナゴヤ)は山崎伊織が8回を1失点、ジェイソン・ボスラーの一発に泣いた。今季初完投勝利を目前にして黒星となったものの、さすがの投球を見せてくれた。

 打線も6日には球団初となる9回2死からの5連打で逆転勝利、7日も快勝した。2カード連続の勝ち越しだ。主砲の岡本が復帰してからチームとしての体裁が整い、いい方向に回ってきた。

 中日3連戦では吉川尚輝を8番に置いていたけどこれはどうか。岡本を4番で使うなら1番・丸佳浩、2番に吉川、3番に泉口友汰、5番には岸田行倫かトレイ・キャベッジが妥当ではないかと思う。

 吉川は出塁率が高く足もある。四球を選ぶ。時にはセーフティーバントを仕掛けることもできる。クリーンアップのタイプではない。岡本の前にいれば相手は嫌がると思うのだが。

泉口はいまのままでいい

 2年目の泉口が3割を切ったものの首位打者をキープしている。前回も記したがボール球を振らず、甘いボールを狙っている。投高打低のいま、3割近くを打っているのは立派だ。

 私も2年目の63年、球宴前に3割3分を打って首位打者の位置につけたことがある。この年は投手からスイッチヒッターとして野手に転向して実質的に1年目だった。

 ところが球宴後は64打席ノーヒット……最終的には2割5分8厘、打撃30傑の18位で終わった。意識し過ぎた。

 泉口にもこれからプレッシャーを感じ、また意識することもあると思うが、ボール球は振らない、甘い球を振る。いまのままでいい。続けてほしい。

デーブ・ジョンソンさん死去に思うこと

 元巨人のデーブ・ジョンソンさんが亡くなった。長嶋(茂雄)さんが初めて指揮を執った75年から2年間プレーし、第41代の4番打者を務めた。

 私とは同窓生だ。バリバリのメジャーということで注目を集めたが1年目は期待外れだった。スポーツ紙に「ジョン損」なんて見出しが踊ったことを覚えている。

 初めは三塁だったが、長嶋さんは三塁に見切りをつけて高田(繁)を外野から三塁にコンバート、ジョンソンさんは本来の二塁で起用された。これが功を奏したのか。2年目は長嶋さんの初優勝に貢献した。懐かしい。

 しかし、一緒にプレーした仲間が亡くなるなんて寂しいよね。ご冥福を心からお祈りいたします。

 さあ、巨人は残り17試合の正念場を迎える。5位の広島まで5.5ゲーム差、引き分けを考えなければ、貯金のためには10勝7敗以上が必要だ。必ずや2位を守り抜き、貯金をして阪神への挑戦権を得てもらいたい。

(成績などは8日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。