“ドラフト超目玉”創価大・立石正広は阪神・佐藤輝明に匹敵するスラッガー 競合球団は過去最多となる可能性も浮上!
今年のプロ野球ドラフト会議は、10月23日に都内で開催されることが決定した。昨年は、宗山塁(明治大→楽天)に5球団、金丸夢斗(関西大→中日)に4球団が1位で競合し話題となったが、今年は彼らを上回る人気を集める可能性を秘めた選手がいる。創価大の内野手、立石正広だ。【西尾典文/野球ライター】
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大会新記録となる10安打
立石は山口県の出身。母の郁代さん(旧姓・苗村)は、バレーボール女子日本代表として1992年のバルセロナ五輪に出場している。2人の姉も現役のバレーボール選手というアスリート一家で育った。
2021年の夏、彼の名前は一躍全国に轟いた。高校3年生で出場した夏の甲子園1回戦、小松大谷戦で、立石は5点を追う4回にカットボールを強く振り抜き、センターバックスクリーンに反撃の2ランを叩き込む。さらに、5回にも右中間のフェンスを直撃するタイムリースリーベースを放ち、チームの勝利に貢献した。
試合後、筆者は甲子園の取材を終えてホテルに戻る電車の中で、ある球団のスカウトが立石について「密かに狙っていたのですが、もう大学進学が決まっているんですよ」と話していたのをよく覚えている。
しかしながら、立石は、この時点までスカウト陣が騒ぐような選手ではなかった。筆者が今年7月末、立石本人から話を聞いた時も「スカウトの方は、少しは見に来ていたようですが、熱心な感じではなかったです。監督とのおつきあいで来ていただけではないでしょうか」と話していた。
その後、立石は東京新大学野球連盟に所属する創価大学に進学した。2年生になり、本格的にドラフト候補としてスカウトの間で話題になり始めた。
春のリーグ戦で創価大は優勝し、立石も打率5割、5本塁打、14打点という好成績を残して三冠王に輝いた。続いて出場した全日本大学野球選手権では、初戦で富士大と対戦した。試合には敗れたが、今年のドラフト候補である好投手の中岡大河(現・JR西日本)からライトへソロホームランを放った。
そして、昨秋の明治神宮大会で、2025年ドラフトの目玉候補としての地位を確立する。初戦の佛教大戦で、ライトスタンドへのホームランを叩き込むと、その後も快音を連発した。青山学院大に敗れた決勝戦までの4試合で15打数、10安打、2本塁打、6打点と圧巻の成績を残している。10安打は大会新記録である。
人気が集まる要因は他にも
セ・リーグ球団のスカウトは、立石の実力について、以下のように語る。
「打撃力、特に長打力は、今のアマチュア球界で間違いなくトップです。打球の速さや飛距離は、(阪神で打線の中軸を担う)佐藤輝明の大学時代と比較しても、引けを取りません。レフト方向に引っ張るだけでなく、センターやライトにもホームランを打てます。少し調子の波はありますが、ボール球をしっかり見極められますし、変化球への対応力も高いです。足が速く肩も強いので、セカンドやサードなどさまざまなポジションが守れます。あれだけ打つことができれば、ポジションはどこでも良い。そんなレベルの選手だと思います」
昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿のフリー打撃では、広い「坊ちゃんスタジアム」の場外へ飛び出す一発を放った。視察に訪れていたスカウト陣は、驚きを隠せない表情だった。このほか、プレー以外の面でも評価されている点があるという。前出のスカウトは続ける。
「創価大が所属している東京新大学野球連盟は、東京六大学や東都大学と比べると、レベルも注目度もかなり低い。そういうリーグでは、下級生の時から結果を残すと、慢心して上級生になってから伸び悩む選手も少なくない。ところが、立石はそういった面が全く見られず、年々着実に成長している。環境や周囲に左右されずに自分をしっかり持って取り組める選手だと思います。立石のような選手は、プロで活躍するケースが多いですよね」
創価大出身の選手では、小川泰弘(ヤクルト)も1年生の時から試合に出場していたが、上級生になってもさらに成績を伸ばし、プロでも長く主戦投手として活躍している。
そして、立石に人気が集まる要因は他にもある。対抗馬となる目玉選手が他にいないのだ。近年は大学生投手が注目される傾向にある。しかし、上位候補は多いものの、昨年の金丸のような絶対的な存在は見当たらない。高校生では、健大高崎のエース、石垣元気がドラフト1位候補に挙がるものの、一軍の戦力になるには時間を要すると見られ、多くの球団が競合する可能性は低いだろう。
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