歌舞伎町に住み込み取材で見えた「頂き女子りりちゃん」事件の“闇”とホスト業界の激変

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人の人生を軽んじない

――これまで取材する中で、大切にしてきたことはありますか。

 当たり前のことですが、人の人生を軽んじてはいけないという思いがあります。人の人生を取材させてもらい、書かせてもらう以上、自分もそこで嘘をついてはいけないし、簡単なことをしてはいけないと思っています。

――渡辺受刑者の事件後、歌舞伎町はどのように変化しましたか?

 渡辺さんの事件があってから、ホストクラブは「表向きは」完全に変わりましたね。徐々に徐々に地下に潜るようになったように思えます。売掛が立てられなくなったことから、個人間でのやり取りや、前金を入れるデポジットシステムに変わったりしたともききました。

 今年6月に施行された改正風営法の影響もあり、「シャンパンコール」や「ラスソン」(売上が一番高かった人が歌を歌う)といったパフォーマンスも自主規制するようになりました。

 身分証明書がないと本当に入れなくなりましたし、キャッチ行為も表向きには見えないところでやるようになっています。全体的に「表面的には見えないようにしている」という印象。もちろん、形を変えて地下で続いている部分もありますが、少なくとも表に出ている部分では「みんな(法律を)守っている」という状況です。

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 第2回【ホストクラブでシャンパンタワーにダイブ、救急搬送…「頂き女子りりちゃん」の規格外の行動】では、宇都宮氏が“りりちゃん”の存在を知った当時の様子を振り返る。

宇都宮直子
1977年3月27日、千葉県出身。多摩美術大学美術学部卒業後、出版社勤務等を経て、フリーの記者に。事件や芸能分野を中心に取材活動を行う。今年、『渇愛 頂き女子りりちゃん』(小学館)で第31回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』。

デイリー新潮編集部

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