米女子ゴルフで「日本勢」猛攻、ルーキーランキング上位独占…ついに実証された「小林浩美会長」の“先見の明”

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あらゆることに挑む姉妹の姿に好感

 そして、この「分担制」は、両親の応援の仕方だけではなく、チーム・イワイ全体に適用されている。

「アキエとチサトは3~4週間おきにお互いのキャディを交換するそうだ。マネージャーや通訳も同様で、新鮮さをキープするためだという。食事も観光もすべてが大所帯のチーム・イワイとして行われている」という紹介部分は、米国のゴルフファンも「へー!」と驚き交じりで受け止めたのではないだろうか。

 また、「姉妹でお互いに嫉妬したことはないのか?」という質問に、明愛が「もちろん、嫉妬しました。何でも千怜が先だったし!」と、ストレートに答えていた。

 日本の女子ツアー、JLPGAでの初優勝は千怜が2022年8月で、明愛はそれから8カ月遅れの2023年4月だった。米LPGAでも、千怜の初優勝は今年5月だが、明愛は3か月遅れの8月だったため、明愛はそのことにジェラシーを覚えたと正直に明かした。

 最大限、自力の英語で対応していたからこそ、歯に衣着せぬ素直で端的な返答になっていたのだと思う。英語にも果敢に挑むという、岩井姉妹のそんなチャレンジぶりにも、好感が抱かれていることは間違いない。

ファンサ、メディア対応、笑顔…スター選手という自覚

 今回の米ゴルフウィークの記事は、史上初の双子優勝達成ということで岩井姉妹にフィーチャーしていたが、米ゴルフ界で注目されているのは岩井姉妹だけではない。

 今季ルーキー優勝を挙げた竹田や山下、メジャー初優勝を成し遂げた西郷も、みなファンサービスやメディア対応を怠らず、素敵な笑顔を輝かせていることもあって、人気は急上昇中である。

 彼女たちからは、ウエアの着こなしや身だしなみ、化粧の仕方にいたるまで、「大勢の人々から見られる立場」「魅せる仕事」「憧れを抱かれるスター選手」であることを自覚していることが明らかに見て取れる。

 日本勢はそんなところだけでも際立っているが、そこに強さや上手さ、実績が伴っているため、一層、パワーアップして見える。

 それは、JLPGAを率いる小林浩美会長が、プロゴルファーとして「絶対に必要」と考えて、教育してきたことの賜物だと言っていい。

小林会長とJLPGAに「育てられた」選手たち

 世界に挑む日本女子ゴルフ選手の草分けとなった小林会長は、後に続く選手たちが世界で堂々と戦えるようになるためには何が必要かを第一に考え、あらゆる面でレベルアップを図り続けている。

 下部ツアーを拡充し、3日間の大会を4日間に拡大。試合会場のコースセッティングの難度を大幅にアップさせることで、日本と世界のギャップを縮めるように努めてきた。

 同時に、女子選手は「かくあるべし」「こうあってほしい」という理想像も伝え続け、実際にそうなれるよう、指導や助言も続けてきた。

 そうやって、小林会長とJLPGAに「育てられた」日本の女子選手たちが今、続々と世界の舞台へ踏み出し、こぞって成果を発揮している。たとえればそれは、撒いた種から芽が出て膨らんで大きく育ち、一斉に実り始めているという現象である。

 そして、その「種」が、その後も日本で撒かれ続けていることを考えると、世界に挑む日本の女子選手たちの活躍は、これからも、ますます見られるのではないだろうか。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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