ドラフトの“超目玉”に浮上か?「佐々木麟太郎」は日本球界かメジャーか スカウト陣は「来年7月まで入団を待てるかどうか…」
本人がどうしたいのか
そんな佐々木のNPB入りを後押しするような“追い風”が吹いている。それは、セ・リーグが2027年から指名打者(DH)制の導入を決定したことだ。
佐々木のポジションは基本的にファーストであり、脚力もない。このため、2023年当時は、「外国人選手とポジションが被るため、DH制がないセ・リーグ球団はどうしても指名しにくい」と囁かれていた。そのような「障害」がなくなり、セ・リーグ球団が佐々木を指名しやすい環境になったといえる。
ただし、NPB球団が佐々木のドラフト指名に踏み切るか、“懸念材料”がある。メジャーのドラフトとの兼ね合いだ。日本のドラフト会議は、「今年10月」に行われる一方で、MLBのドラフト会議は「来年7月」に開かれる。つまり、半年以上もブランクがある。
ルール上、海外在住でメジャーのドラフト対象となる選手は、MLBのドラフト会議が終わるまで、日本のドラフト会議でNPB球団に指名されても、入団を留保できる。
仮に、佐々木が大学の4年間を修了せず、プロ入りする判断をしたとしても、メジャーの球団に高評価を得られれば、そちらを選ぶ可能性が高い。NPB球団にとっては、佐々木を1位で指名しても、入団をしない可能性があり、貴重なドラフト指名の1枠を無駄にすることが想定されるのだ。
前出のスカウトは、この点について「各球団内で佐々木を指名するかどうか、かなり議論となるのではないか」と指摘する。
「大前提として、本人の意向を確認することが重要になりますね。そもそもプロに行く気があるのか。NPBなのかメジャーなのか。NPBの評価が高く、メジャーの評価が低い場合は、まずNPBの球団に入ってから、将来的にメジャーに進むという選択肢はあるのか。その点を明確にすることが先決だと思います。最も面倒なのは、プロ入りの意向はあるものの、NPBとメジャーのドラフトの結果を見て、それから判断するという回答が来た場合です。そうなると、ドラフトで指名して交渉権を獲得したとしても、入団にこぎつけられるかは来年の7月まで待つことになります。(不確定な要素が多い状況で)高い順位で指名するのかどうか、判断が非常に難しいですよね」
他のスカウトからも「本人がどうしたいのか、はっきりしてくれないことには、こちらとしても指名できない」との声も聞かれた。佐々木が目指すのは、日本球界かメジャーか。その選択が、各球団のドラフト戦略に影響を与えそうだ。
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