ねちねちと新聞記者を詰める「石丸氏」は「かっこいい大人」か…かつて支持した識者も「パワハラ上司が部下を追い詰めているような印象」
パワハラ上司を連想
石丸氏は一時期、「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)や「サンデージャポン」(TBS)といったバラエティ寄りのテレビ番組に出演した時期もあった。だが、やはり彼の主戦場はネットであり、積極的に地上波やBS、CSなどの番組に出演することはなかった。
井上氏は「少数の例外を除き、最近は石丸氏の動画の再生回数も減少傾向にあります。結局、石丸氏は“ネット弁慶”だったということでしょう」と言う。
「石丸さんは政治家として何を成し遂げたいのか、最後まで分かりませんでした。雄弁になるのはネット上のマスゴミ批判に乗っかる時だけです。そのため多くの人が辟易するようになったと考えられます。ネチネチと粘着している印象を指摘する声も多く、記者への逆質問も弱い者いじめに見えます。退任会見で朝日や日経の記者とやり取りをしていた時、確かに笑顔を浮かべることはありました。しかし目は笑っていません。そのため冷笑というイメージが強くなり、パワハラ上司が部下を、もしくは横暴な発注先が受注先を、言葉の暴力で追い詰めているように受け止められました」
「化けの皮が剥がれた」
井上氏によるとネット上では「リーダーの資質がない」と切って捨てる意見が目立ったという。
「SNSには『こんな人と一緒に働きたくない』という投稿もありました。これは最後通牒に近いニュアンスがあります。退任会見で朝日と日経の記者に説教をしましたが、完全な逆効果に終わり、ネット民は石丸さんを『化けの皮が剥がれた』と見限りました。ここで思い出したいのは、石原慎太郎さんや橋下徹さんも朝日新聞を攻撃することが多かったことです。ただし彼らは“石原節”や“橋下節”という魅力的な語り口を持っていました。そのため、朝日新聞を厳しく糾弾してもパワハラの印象は乏しく、納得したり溜飲を下げたりした有権者が多かったのです。要するに石丸さんは最後まで“石丸節”がなかったということでしょう」
註:連載 政党不信の底流「これは票を取るなあ」 辻元氏、変装して偵察した石丸演説に驚き(毎日新聞電子版・2024年9月22日)
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