まさかの人事に識者も「冗談かと思いました」…「コメは買ったことがない」江藤拓・前農水相が自民“農業新組織”トップに就任で「自民の岩盤支持層が離反しかねない」

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岩盤支持層の離反

 江藤氏の地元は宮﨑2区。コメ高騰の際、彼は農水相だった。確かに週末、地元に帰ることは難しかったかもしれない。

 とはいえ宮﨑県の地元紙・宮崎日日新聞は昨年10月、「県内コメ価格 高止まり/新米出ても…家計圧迫嘆き/農家は消費者離れ懸念/産地は盗難警戒」との記事を配信した。記事にはコメ高騰に苦しむ県民の声が掲載されている。

 こうした地元の状況を農水相だった江藤氏が間接的にせよ正確に把握していれば、「コメは自宅に売るほどある」という発言が出るはずもない。

「石破おろしの問題で目を引くのは、先に触れた産経とFNNの世論調査で自民党支持層の7割が『支持しない』と回答したことです。実は自民党支持層のほうが、石破おろしに反対していることになります。私は自民党と世論の乖離を指摘しましたが、実は『自民党と自民支持層の乖離』のほうが深刻だと言えるでしょう。政治に関心を持ち、自民党を応援している有権者の希望に自民党は応えられていないのです」(同・伊藤氏)

 伊藤氏は「従来、自民党がどんな不祥事を起こしても、『3割の有権者は必ず票を入れてくれる』と言われていました」と振り返る。

「この『3割の有権者』が、自民党の“岩盤支持層”だったわけです。ところが今回の参院選における比例代表の得票率を見ると自民党は21・6%にとどまり、現在の投票制度が採用された2001年に導入されて以来、最低を記録しました。つまり自民党の岩盤支持層は、とうとう3割を割り込んでしまったことが分かります」

危機的な自民党

 江藤氏の委員長就任を野党支持層が批判する一方で、自民党支持層は全力で擁護している──というわけではない。

 それどころか江藤氏は農業関係者を呆れさせたことがある。例の「コメを買ったことがない」発言では、支援者からもらったコメについて触れ、「わざとじゃないだろうが、いろんなものが混じっている。黒い石とか入っている」と述べたのだ。

 黒い石発言は「農家を中傷しているのか」と物議を醸した。そして農業関係者の多くは、かつて岩盤支持層として自民党を支持してきた。しかし昨今では「農家の自民党離れ」が指摘されている。

「もちろん無党派層が自民党を支持しなくなっていることも大問題ですが、岩盤支持層の離反のほうが自民党にとっては深刻でしょう。急いで対応しなければ、自民党は分裂や崩壊に向かって突き進むことになります。いずれにしても自民党の迷走は危機的なレベルだと言わざるを得ません。そして自民党の危機的状況を象徴することの一つが、江藤さんの委員長就任だと指摘できるのではないでしょうか」(同・伊藤氏)

デイリー新潮編集部

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