高校野球を襲う酷暑に「甲子園のドーム化」を望む声も…元プロ投手の大学教授が「夏の高校野球は札幌ドームで開催」を勧める理由

スポーツ 野球

  • ブックマーク

適切な商業化が必要

 カタールW杯では屋根のない屋外型のスタジアムでも試合が行われたが、いずれも冷房を稼働させ、観客席の温度を22度まで下げたという。また、小林氏は甲子園球場のドーム化には難色を示す一方で、夏の高校野球は開催地を変更したほうがいいと言う。

「夏の甲子園は大阪ドームで開催すべきという意見もあるようですが、私はプロ野球のホームグラウンドではない札幌ドームのほうが適地だと考えます。春の選抜は甲子園、夏は札幌ドームと使い分けるわけです。札幌ドームの場合、甲子園で開催するより球場使用料など必要経費が大幅に増えます。これは適切な商業化で資金を調達して対応します。今のオリンピックと高校野球を比較すると、高校野球の非商業化は極端なレベルだと言わざるを得ません。例えばNHKと朝日放送の放映権料は無料ですが、札幌ドームの開催時はある程度の負担をお願いするべきでしょう。私が特に主張したいのは、出場校にもスポンサー契約を認めることです。そして全チームの選手と高校の応援団が飛行機で札幌に移動することを可能にしたいと考えています。地元企業が出場校の選手をCMに使えば、地域の活性化にも寄与するに違いありません」(同・小林氏)

 小林氏が高校野球の猛暑対策が急務だと判断するのは、もちろん選手の健康が最優先だからだ。

野球の視聴機会

 しかし、健康問題だけでなく、「野球界全体の発展」にも効果があるという。

「プロ野球の経営という視点に立てば、高校野球の試合がナイトゲームで行われてしまうと、プロ野球とバッティングしてしまうことが残念なのです。特に8月は子供なら夏休み、大人もお盆休みで時間を取れる時期です。朝はドジャース戦を見て大谷翔平選手の活躍を応援し、午前中から夕方にかけては甲子園に熱中。そして夜はプロ野球のナイターを楽しんでもらうのが球界にとって理想的なのは言うまでもありません。野球の視聴機会が増えれば、それだけ野球ファンの裾野は広がります。そうした観点からも高校野球の猛暑対策は急務なのではないでしょうか」(同・小林氏)

註:AccuWeatherが掲載した「兵庫県 甲子園口」の気象情報

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。