おじさんが「ラブブ」をカバンにつけて起きたこと 電車で盗撮、”ラブブ狩り”に怯え…日本も浮かれていられない
打ち合わせ中に…「スマホで抽選があるので」
筆者がラブブを初めて知ったのはそれより少し早い。5月のゴールデンウィーク、専門家仲間の娘さんから「世界的に流行している」とフィギュアを贈られたのがきっかけだった。全く知らなかったため調べてみると、世界30カ国以上に展開する中国系キャラクターショップ「POPMART」で販売されていることが分かった。ただ当時は周囲で話題にする人も少なく、自宅にひっそり飾っていたにすぎない。
その後、7月中旬にある女性アナウンサーと打ち合わせ中、「スマホで抽選があるのですみません」と会話を中断された。詳しく聞いてみると、ラブブを買うためのPOPMARTの入店抽選や時間指定のネット販売に申し込んでいるという。なかなか当たらないので、日々申し込みをしているとの事だった。8月に入ると同様の話を多く聞く事になりラブブが日本でも流行り始めている事を改めて感じるようになった。
原宿本店にも並んでみた 300人の行列の前方に居たのは…
基本は抽選でしか買えないが、POPMART原宿本店では行列に並べば買える可能性があると聞き、視察がてら、8月7日(木)に並んでみた。
到着したのは、11時オープンの3時間15分前の7時45分。最終的には約300人の行列となったが、並んだ時点でもすでに約80人が並んでいた。列の前方を見ると、約半分ぐらいは日本語を話していない人で、ファッションなどから推察すると中国などアジア系の人たちと見受けられた。先頭から30名はほとんどがそうした人々で、POPMARTのアイテムに興味がなさそうな年代、身なりだった。おそらく、転売ヤーであると思われる。
結局11時20分ごろに入店できたのだが、先に入った客が誰もラブブを持っていない。嫌な予感がしたが的中し、この日はラブブは最初から販売されていなかった。2番人気の「クライベイビー」も同様だったとの事。これが日本の企業であれば、並んでいる客にラブブが買えない旨の入荷情報を掲示するなどしただろうが……中国企業であるPOPMARTではそのような対応は取られていなかった。日本が親切すぎるだけで、世界的にはこっちのほうがスタンダードなのかもしれない。
そしてこの「並んでも買えない」という飢餓感が人気を後押ししているようにも思う。また、ラブブはブラインドボックス形式で販売しているため、何が出てくるか分からない。これによって客単価をアップさせ売上を上げる要因となっているのだろう。
結局、筆者は店員に聞き、ラブブと同じ”モンスターシリーズ”の「スカルパンダ」を購入した。
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