150万人規模のデータ分析でリスクが指摘 「マイクロプラスチック」由来の“有害添加剤”が健康に及ぼす影響とは

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“添加剤”が健康に影響を及ぼすという指摘も……

 気になるのは、人体に取り込まれた時に悪影響が出るのか、という点だと思います。

 例えば、2024年には米国の権威ある医学誌“The New England Journal of Medicine”において、血中のマイクロプラスチックの存在が心筋梗塞や脳卒中のリスクを引き上げることを示唆した疫学研究が報告されて大きな話題を呼びました。報告では、血液中に侵入したマイクロプラスチックが体内で異物と認識され炎症を引き起こし、その炎症が心臓や脳の血管を圧迫して心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性が指摘されています。
 
 このようにプラスチックそのものが人体と相互作用する「物理的な影響」が指摘されていますが、これ以上に気にかけるべきは、プラスチック製品中に混ぜ込まれている有害な化学物質による「化学的な影響」だと考えています。

 プラスチック製品中には、加工をしやすくする可塑剤や製品を燃えにくくする難燃剤など数多くの添加剤が含まれます。年間約4億トン生産されるプラスチック製品のうち、約2800万トンが添加剤とされ、可塑剤や難燃剤がその75%を占めます。

 曲者なのはこのうち、臭素系難燃剤の臭素化ジフェニルエーテル類(PBDE類)やヘキサブロモシクロドデカン(HBCD類)、可塑剤のフタル酸エステル類やビスフェノールA(BPA)、紫外線吸収剤のUV-P、酸化防止剤のノニルフェノール類など。これらの化学物質は、女性ホルモンなどと構造の一部が類似しているため、人体に取り込まれた時に本物のホルモンの“真似”をしてしまう「内分泌かく乱作用」という性質を示します。マイクロプラスチックとともに添加剤を人体に取り込むことで、動物やヒトの体内で生殖、成長、甲状腺機能や脳の発達などに障害を起こすことが報告されているのです。

〈有料版の記事【「マイクロプラスチック」由来の化学物質で“生殖・免疫機能”への影響との指摘も…… “有害添加剤”が検出されたプラスチック製品とは】では、添加剤により生じうる健康影響や、添加剤を含む具体的なプラスチック製品などについて詳述している〉

デイリー新潮編集部

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