「“終わりの始まり”を迎えている」 450人削減の「ベネッセ」が抱える「進研ゼミ」の深刻な問題とは
競合におされる「進研ゼミ」の窮状
今回の人員削減は、同社の主要事業である通信教育講座「進研ゼミ」の不振が背景にあるとされる。ここ10年ほどで会員は100万人以上減少し、現会員は150万人ほど。毎月のように郵送されてくる、“これ進研ゼミでやったところだ!”のマンガに感慨を覚える大人も多かろうが、今やかつての輝きは失われつつあるわけだ。
ベネッセの事情に詳しい学校関係者は言う。
「抜群の知名度こそあれ、少子化や4000万人の個人情報流出事件の影響などもあり、『進研ゼミ』の会員数は激減しています。一方で所属する社員の数はほぼ変わっていなかったので、そこに一気にメスを入れるということでしょう。昨年には創業家が外資ファンドと組んでMBOも行われていて、この“衰退事業の人員整理”にはファンドの意向も大いに影響していると思われます」
会員減の原因は、少子化や“事件”だけではない。教育分野にも浸透した「オンライン化」によって、競合の台頭が相次いだのだ。
「物流などのコストが大きい印刷物とは異なり、配信コンテンツは参入ハードルが低いため、似たようなサービスを展開する事業者は明らかに増えました。たとえばB to Cの領域では、タブレット端末を用いた教育コンテンツを提供する『スマイルゼミ』(ジャストシステム社)が、内容も形式も進研ゼミともろ被り。じわじわと会員がそちらに流れています」
タブレット端末が全小中学生を対象に配布されたことも、「進研ゼミ」にとっては逆風となったようだ。ここに商機を見出したリクルート系の「スタディサプリ(スタサプ)」が存在感を高めている。
「B to Bをメインとしているスタサプは直接の競合というわけではないのですが、学校教育の補助教材として自治体単位で活用されているので、これが進研ゼミにも少なからず影響しています。学校から配布された端末で、補助となる映像授業がスタサプで見られるようになっているのならば、そこからさらに追加で有料サービスを活用しようという人は減っても仕方ありませんよね」
こうした“外的要因”を考えれば、急激な会員減もやむなしか……と思いきや、「進研ゼミの在り方そのものにも問題がある」と鋭く指摘するのは、また別の関係者だ――。
〈有料版の記事【ベネッセ「450人削減」の背景に「進研ゼミ」の驚くべき現状 関係者は「問題は少子化だけではない」「方針が変わり“終わりの始まり”を迎えている」】では、この関係者が明かす驚くべき進研ゼミの現状や、それが「終わりの始まり」だと指摘される理由、そしてこれらに対するベネッセ側の見解などについて報じている。〉
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