今季9勝の「新エース」を登録抹消…巨人・阿部監督“意味深な采配”の理由とは 短期決戦の怖さを知る指揮官の胸中
狙いはCS?
そして阪神の胴上げが近づく中、阿部監督は“意味深な采配”も続けている。
8月16日に山崎伊織(26)の一軍登録を抹消しているのだ。前日の阪神戦では今季最短の4回4失点と奮わなかったが、9勝はチームトップ。防御率1.73はリーグ2位だ。阿部監督は「状態も良くなかったので。怪我とかではないので」と記者団に説明していたが、抹消された同日は一軍練習にまだ帯同しており、ウォーキング中心の軽めの練習は、山崎が登板翌日に行ういつものルーティンだ。
「計6選手を同日に入れ替えました。山崎、馬場皐輔(30)、乙坂智(31)を降格させ、岡本和真(29)、井上温大(24)、新人の宮原駿介(22)を昇格させました」
21日にも菊地大稀(26)を降格させ、又木鉄平(26)と入れ替えた。3位DeNAとの3連戦が始まる22日には増田陸(25)、ヘルナンデス(30)と吉川尚輝(30)、浅野翔吾(20)の4選手を入れ替えた。勝率5割ラインを行き来している現状を打破するためには、先発の山崎に踏ん張ってもらわなければならない時期なのに、だ。
「菊地は2週間で7試合にリリーフ登板し、防御率1.80と好投しています。先発起用するための調整との見方もされています」(前出・スポーツ紙記者)
山崎をリフレッシュ休暇させた目的は“9月以降”を見越してのこと。菊地の先発コンバートも本当なら、終盤戦で猛チャージを掛け、その勢いでファーストステージを勝ち上がるつもりなのだろう。
「阪神は、ペナントレースの20試合近くを残して優勝となる可能性が高い。個人タイトルの掛かった佐藤などは使い続けるでしょうが、優勝チームは消化試合でレギュラー選手を休ませるのが定石です」(前出・在阪記者)
日程の問題などで優勝チームが実戦感覚を喪失し、ファーストステージを勝ち上がったチームは試合数を重ねる度に強くなっていく。12球団監督会議での阿部発言が思い出されたからか、「このまま巨人がCSに進出してきたら、どんな手を打ってくるのか」との声が、関係者の間で聞かれるようになった。
短期決戦の裏を実体験した阿部監督は、作戦や選手起用も含め、昨季のリベンジを虎視眈々と狙っているようだ。
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