DeNA3連戦で浮き彫りになった赤星、井上の課題…2位死守のため打線のカギはキャベッジにあり【柴田勲のコラム】

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吉川のクリーンアップには反対

 やっぱり岡本和真が帰ってくると違う。大黒柱が4番にどっかり座ると、打線に安定感が出てくる。これまで何度か記しているが、1番と4番が決まれば打線をどうにでも組める。

 22日、スコアボードには丸佳浩、岡本、吉川の名前が並んだ。三人がそろって出場したのは112試合目にして初めてだ。

 吉川がケガから復帰してきたが、ケガ以前もクリーンアップを打つことが多かった。岡本の負傷があったからだが、吉川のクリーンアップには反対だ。

 なんとか出塁して足を生かす。守備力も高い。1、2番タイプだ。ケガで戦線を離れたため、出場試合数は93だ。それでも打点26はちょっと寂しい。タイプが違うのである。

 私が打線を組むのなら1番吉川、2番泉口友汰、3番丸、4番岡本、5番トレイ・キャベッジ、6番岸田。そして7番中山、8番砂川リチャードとなる。この二人は入れ替えOKだ。

 リチャードが好調だ。当たれば飛ぶ。パワーはケタ違いだ。打率は1割9分5厘、せめて2割4~5分は欲しいところだが、阿部監督は意外性を買っているのだろう。

 気軽にノビノビと打てる下位打線が功を奏している。上位で起用したら打てなくなると思う。

実力を開花させてほしいキャベッジ

 なんやかんやいっても、今後打線のカギを握るのはキャベッジだと思う。長打力がある5番として機能することを期待したい。

 13本塁打を放っているものの長続きしない。どんな球にでも手を出しているし、ボール球を振っては相手投手を助けている。阿部監督が気に入らないのはそこだろう。

 日本の投手は初球から落ちるボール、ボール球になるスライダーを投げてくる。面食らっているのだろうが、開幕して5カ月近くなる。そんなことは言っていられない。

 第1ストライク、第2ストライクまではゾーンを狭めてベルト周辺のボールを振る。ヒザ元の球は見逃す。相手は嫌がる。もちろん、2ストライクと追い込まれたら、どんな球にでも対応しなければならない。

 首脳陣は徹底して言い聞かせる。いまさらながらであってもやってみてはと思う。遠くへ飛ばせる能力は持っている。正念場で実力を開花させてほしい。

 残り29試合。26日からは12試合連続で遠征となる。まずは広島(マツダスタジアム)、阪神(甲子園)の6連戦を最低でも3勝3敗で乗り切ってもらいたい。

 負け越すようだと2位の座も苦しくなってくる。大いに注目している。

(成績などは25日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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