苦境のフジで唯一気を吐く「千鳥の鬼レンチャン」 スターを発掘、「イッテQ」にも負けない理由とは
日曜夜のテレビ番組といえば、NHKの大河ドラマを筆頭に、日本テレビの「世界の果てまでイッテQ!」、テレビ朝日の「ポツンと一軒家」(朝日放送テレビ制作)、TBSの「バナナマンのせっかくグルメ!!」など各局がしのぎを削る時間帯だ。そんな激戦区で今、気を吐くのがフジテレビの「千鳥の鬼レンチャン」だという。
***
【写真】「かわいすぎる…!」鬼レンチャンでブレーク中の演歌歌手が披露した、“お出かけ姿”にファン歓喜
もっとも、ビデオリサーチが発表する「週間リアルタイム視聴率ランキング」に「鬼レンチャン」の番組名は見当たらない。民放プロデューサーは言う。
「世帯視聴率や個人視聴率はそれほど高くはないので、ジャンルごとに10位までが発表される週間の視聴率ランキングには載っていません。それでも『鬼レンチャン』のコア視聴率(13歳から49歳までの個人視聴率)は高く、時には同時間帯でトップになることさえあるんです」
「鬼レンチャン」は日曜19時から20時54分までの2時間番組だ。裏番組には「ザ!鉄腕!DASH!!」(19時~19時58分)と「世界の果てまでイッテQ!」(19時58分~20時54分)という日テレのバラエティ番組の二枚看板も含まれる。それらを相手に堂々戦うとは……。
「『鬼レンチャン』のメイン企画は“サビだけカラオケ”で、文字通りカラオケでサビ部分の音程を外すことなく10曲連続で歌いきるというもの。このコーナーの出場者から新たな人気タレントが生まれるため、ネットで話題になることも多く、業界でも注目されています。苦境のフジテレビにあって、数少ないスポンサー受けのよい番組です。今やフジの看板番組と言っていいと思います」
そもそもカラオケ番組は今に始まったものではない。
“Mr.インチキ”ほいけんた
「90年代に放送された『THE夜もヒッパレ』(日テレ)は、邦楽トップ10にランキングされた曲を本人ではなく出演者がカラオケ形式で歌い、芸能人の歌声を楽しむという番組でした。カラオケマシンで点数で競うようになったのは、2006年にスタートした『カラオケ★バトル』(テレビ東京)だと思います。マチャアキ(堺正章)の『さあ、何点! 何点! 何点だ~』を覚えている方もいるのではないでしょうか」
決して目新しい企画ではないのに、「鬼レンチャン」では何がウケているのだろう。
「これまでのカラオケ番組は、1曲をほぼフルコーラスで歌わせることが多かったのですが、“サビだけカラオケ”はサビだけなので短いし、それを失敗するまで立て続けに歌わせるのでテンポがいいんです。チャンネルを変えるのを忘れて見入ってしまうこともあるくらいです。しかも、歌の上手さだけではなくモノマネや奇抜な衣装なども加わりますから、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジ)に似ているかもしれません。そこにVTRイジりが上手い千鳥とかまいたちがいるのですからテッパンです」
この番組から生まれたスターといえば、モノマネ芸人のほいけんた(60)だ。
「明石家さんまさんのモノマネで知られていましたが、意外にも歌が上手い。2度目のチャレンジで10レンチャンに成功しました。ところが、モノマネを封印し、ガラにもなく自分に酔っているような裏声を駆使した歌い方で、さらに女性キーの曲を12音下げて挑戦したため、千鳥などから“ズル歌唱”だの“Mr.インチキ”だのと呼ばれることに。それでも彼はめげず、自己演出を強化することでハマっていきました。7月27日には『祝還暦!ほいけんた生誕祭!豪華タッグマッチSP』が放送され、“ズル歌唱”の封印が話題になったほどです」
[1/2ページ]



