同世代の「希望」であり「呪い」? 炎上女王・辻希美の「エリート出産」が映す令和女性のリアル
8月8日に第5子を出産したと報じられた辻希美(38)。キラキラネームを巡る炎上もあったが、ライターの冨士海ネコ氏によると、ここ数年で辻が炎上する理由には「ある変化」があったという。
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炎上し続けるのも才能のうち。平成から令和に至るまで、それだけの注目を集め続けるタレントはそうはいない。辻ちゃんこと辻希美さんは、そんな数少ない人気者の一人である。
8月8日に第5子を出産したことも報じられ、ネットニュースやSNSでもあっという間に話題に。かつては「おバカタレント」という扱いで批判だらけだったが、さすがに今回は祝福の声が多い。けれども辻ちゃんに向けられる視線は、また違った形の複雑な感情によるものでもあるのではないか。
2024年に日本の合計特殊出生率は1.15に落ち込み、「1人産むかどうか」すら迷う家庭が少なくない。そんな時代に5人目を出産できるという事実は、それ自体が社会的に突出している証しである。体力的にも経済的にも相当の余裕がなければ不可能であり、辻ちゃんはまさにその「選ばれし存在」なのだ。
繰り返す炎上にもめげず、地道にブログやYouTube運用を通じ、一定の収入基盤を築いてきた辻ちゃん。さらに夫・杉浦太陽さんもタレント活動と並行して「イクメン」として存在感を示している。多くの家庭が「1人育てるのにも四苦八苦」という現実に直面する中で、5人の子を抱えられる姿は「選ばれしエリート家族」として映り、羨望(せんぼう)と反発の両方を呼び起こしているのではないか。彼女がたたかれてきたのは必ずしも欠点だけではなく、突出した強さそのものに対する攻撃もある。
衝撃のできちゃった婚から早18年 芸能界随一の「愛され妻」というブランドへ
結婚当初は若いタレント同士の「できちゃった婚」として批判を浴びた二人だが、気付けば20年近く連れ添い、第5子を迎えるまでに至った。売れれば売れるほどに誘惑も増える芸能界で、大きな不祥事を起こすこともなく、仲むつまじく暮らしていること自体が奇跡に近い。辻ちゃんのSNSでは、杉浦さんが出産に立ち会い、子どもたちもそろって新しい命を歓迎する様子も公開された。そこに映るのは「夫に愛される妻」であり「家族に囲まれる母」の姿だ。いまや辻ちゃんは「芸能界随一の愛され妻」というブランドを確立している。
だがこのイメージもまた、多くの女性にとって複雑な影を落とすかもしれない。例えば近年ヒットするドラマは夫との不和や不倫を描いた作品も多く、それだけ結婚生活の摩擦や独り身の孤独が現代人にとって切り離せない問題になっていることがうかがえる。そんな人たちにとって、「こんなに協力的で仲の良い夫婦が存在する」という事実は夢であると同時にプレッシャーにもなるのではないか。幸せそうな夫婦像を示せば示すほど、辻ちゃんは「勝ち組」として際立ち、そのまぶしさが見る者の心をざわつかせることもあるだろう。
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