日本人ファーストもいいけれど… 外国人排除で“日本沈没”の現実とどう向き合うか
外国人に頼らなければ社会が回らない現実
人口動態調査で外国人の人口が過去最多を更新したと述べたが、同じ調査で日本人の人口は、前年にくらべ90万8,574人減った。16年連続の減少で、減少数も減少幅も、1968年に調査が開始されてから最大だった。それも当然で、厚生労働省による2024年の「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、昨年の出生数は68万6,061人だった。
2016年にはじめて100万人を下回ったのは、その当時、衝撃のニュースだったが、それからわずか8年で3割も減少し、70万人を割り込んでしまった。国立社会保障・人口問題研究所は、2038年には70万人を下回りかねないと警告していたが、14年も前倒しになっている。
万が一、少子化に歯止めがかかったとしても、毎年70万人前後の出生数にすぎなければ、これからさらに進む高齢社会を支えることなど到底できない。すでにコンビニエンスストアなどの小売業から、飲食や宿泊業、製造業から建設現場まで、日本でも多くの外国人労働者が働いている。日本人の労働力人口が今後、必然的に、しかも急激に減っていく以上、これからは介護の現場をはじめ、いまよりはるかに外国人に頼らないかぎり、日本人は憲法第25条で保障された健康で文化的な最低限度の生活すら、営むのが困難になるだろう。
また、先の参院選では、「日本人ファースト」を掲げる参政党の躍進を受け、海外投資家が日本株への投資に慎重になりそうだと警戒された。日本株は日本人が保有すべきだ、と考える人もいるようだ。しかし、現実には、2024年末時点で、日本株における外国法人等の保有比率は32.4%にも達しており、彼らが手を引けば、事実上、日本経済は崩壊する。
外国人に対しては、人それぞれにさまざまな感情をいだいていると思う。だが、外国人に対して感情論に左右されて排除や制限をいい出せば、今後の日本は社会も経済も機能しなくなる。そのことを肝に銘じて、外国人の良好な受け入れ方、よりよい付き合い方を考えていく道しか、私たちにはないのである。
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