日本人ファーストもいいけれど… 外国人排除で“日本沈没”の現実とどう向き合うか

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排除ではなくハードルを上げる

 とはいえ、冒頭で述べたように、インバウンドにも劣悪なマナーが見られるのは、多くの人が目撃しているとおりである。それでも、インバウンドが現在、思うように経済成長できない日本を支える大事な因子である以上、冷静に対処する必要がある。

 現在、日本が好きで、または日本に興味があって訪れる外国人旅行者がいる一方、過度な円安のおかげで「安いから」日本を訪れる旅行者も少なくない。そのことがマナーの低下につながっている面は否定できない。だから、出国税や宿泊税を増額するなどして、訪日の負担を増やす必要があるだろう。

 また、日本人と外国人の二重価格をもっと積極的にもうけていい。昨年、姫路城の入場料を外国人だけ日本人の4倍にするという案が検討されたが、賛否両論沸き起こった末、市民以外の入場料だけ1,000円から2,500円に値上げすることで落ち着いた。

 しかし、そうして躊躇するから、「外国人が優遇されている」と感じる日本人が減らない。そもそも姫路城のような史跡や文化財は、維持管理に巨額の費用がかかり、国や自治体から補助金も支給されている。つまり、日本の居住者が支払った税金が充てられている。そうである以上、日本に税金を納めていない外国人旅行者の入場料を、日本居住者より高く設定することは理に適っている。

 こうして訪日のハードル、続いては、各観光地を訪れるハードルをいまより高くし、外国人を選別することは、オーバートゥリズムの解消にも、一定数の人がいだいている外国人への悪感情を軽減するためにも必要だろう。

 同時に、伏見稲荷近く踏切のような、近隣住人の生活に支障をきたす状況を改善し、危険な行為を防ぐために、観光名所の管理者や自治体、鉄道会社などが協力し、人を派遣して観光客を誘導するなどの措置は欠かせない。秩序が失われた状況が報じられ、外国人への不安が煽られることは、ほかならぬ日本人にとってマイナスだからである。

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