「ゴミ箱の上に何時間も正座させられて“血”が…」 イチローも過ごした「地獄の寮生活」を野球部OBが証言

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 米野球殿堂入りを果たした元シアトル・マリナーズのイチロー(51)。表彰式典の前日に開かれた記者会見で、野球人生における「一番の思い出」を聞かれると、意外にも「高校時代の寮生活」と答えた。当時を知る後輩部員が、とてつもなく厳しかったという、その実態を明かした。

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「これ以上の地獄はない」

 イチローの米野球殿堂入りは、アジア人として初めての歴史的快挙だ。表彰式典は現地時間の7月27日、米野球殿堂博物館が立つニューヨーク州のクーパーズタウンで開催された。

「英語で19分間のスピーチを披露し、大いに聴衆を沸かせました。キャリアを振り返りながら、かつてのチームメイトや球団関係者、妻の弓子さん(59)らに感謝の気持ちを伝えた。華やかな式典にふさわしく、終始明るい話をしていましたね。最後は笑みを浮かべて“この場に立っていることは素晴らしい夢を見ているようだ”と締めくくりました」(スポーツ紙記者)

 一方、表彰式典の前日に同地で開催された記者会見では、イチローは英語による質問に通訳を介して日本語で答えた。

「データ分析に偏りがちな昨今の野球界に対して、選手が頭を使って考える重要性を訴えるなど、深みのある話をしていました。驚いたのは、高校時代の寮生活を肯定的に語ったこと。冷静沈着なイチローには洗練されたイメージがあり、根性論が幅を利かせた時代の暑苦しい集団生活なんて、本人には“黒歴史”だろうと思ってましたから」(同)

 イチローは名古屋市にある愛工大名電高出身。甲子園には2年生の夏と3年生の春に出場した。記者会見では、全野球部員で寝食を共にしていた当時の暮らしぶりについて、

「これ以上の地獄はないという経験は、高校の2年半でした。困難が生じた時は、あの頃の寮生活を思い出すことが多い」

 こう述べて自身の「支えになっている」と振り返った。さらには、

「この経験は勧められないし、今の時代にできるわけもないんですけど」

 と、断りながらも、次のように語った。

「(最近の子どもたちは)両親や先生、指導者など、周りのみんなが優しい。これだと社会人になって壁にぶつかった際、どう乗り越えていくのだろうか」

1年生は風呂もシャワーも禁止

 地獄とまで言わしめた寮生活とは一体、どのようなものだったのか。

「私がいた時の上下関係もすさまじかったのですが、イチローさんが在籍していた頃はもっと過酷だったと聞いています」

 そう話すのは、イチローより4学年下だった元野球部員だ。

「自分の体験で言えば、まず、1年時に風呂とシャワーの使用を禁止されていたのが辛かった。汚れた体を冷たい水道水で洗うんです。とにかく上級生は絶対的な存在で、下級生は目を合わせることすら許されない。寮内では彼らの顔を見ないようにと、常に下を向いて歩いていました。話しかけられた時には、語尾に“です”を付けて返事をするのがルール。だから“ボールを取ってくるです!”などと、おかしな日本語を使っていましたよ」

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