松山英樹は黄シャツ、ウッズは赤シャツ、マスターズ初制覇のマキロイも実は…有名ゴルフ選手たちが愛する「幸運色とアイテム」
プレーの際は絶対に長ズボンで
ウッズのサンデー・レッドシャツ、マキロイのポウナムとは少々ニュアンスが異なるが、夢見る思いを「真似る」という行為に託した、こんな例もある。
マスターズ2勝を挙げ、今年は全米プロと全英オープンを制し、メジャー4勝を含む通算17勝を挙げて世界ランキング1位を独走中の29歳、米国出身のスコッティ・シェフラー。彼は幼少時代から、どんな猛暑の下でも短パンを履かず、常に長いズボンでプレーしてきたという。
ジュニアやアマチュアの大会では短パン着用が許可されており、夏場の試合では大半の選手が短パン姿でプレーする。しかし、短パンが禁止されているPGAツアーの試合では、選手がみな長いパンツを履いているため、シェフラー少年は「だから僕も長ズボンでゴルフをする」と言い張っていたそうだ。
現在、シェフラーは世界ランキング1位、マキロイは2位。世界の頂点に上り詰めている彼らにも、そうやって切なる思いをモノやコトに託した経験があったというのは、ちょっぴり意外な発見なのではないだろうか。
ボールが持っている運の量には限りがある
男女を問わず、プロゴルフの世界では、自分にとって特別な意味があるコインをマーカー代わりに大事に使っている選手の姿が多く見受けられる。
また、かつてメジャー4勝を挙げて世界のゴルフ界を席捲した南ア出身のビッグスター、アーニー・エルスは、バーディーを取るたびに、次ホールではボールを新しいものに変えていた。
その理由は「1つのボールが持っている運の量にはリミットがあって、バーディーを取ったら、そのボールの運は尽きる」というものだった。もちろん、真偽のほどは定かではないが、エルスはそう信じていた。
言葉をタトゥーで刻む選手も
どこかで見かけたフレーズや、誰かから聞かされた言葉を、タトゥーにして体に刻み、それを見ることで心を落ち着かせているという例もある。
フランス出身のマシュー・パボンは、かつてハーバード大学を訪れた際に見た、壁に掲げられた一文を「拝借し、座右の銘にしている」とのこと。彼の右手の甲には「今、溢れ出す涎(よだれ)は明日の喜びになる」という意味合いの長い英文フレーズが、小さな文字でぎっしりと刻まれている。
34歳の米国人選手、通算6勝を挙げているマックス・ホーマは「無慈悲」「過酷」を意味する「relentless」という一語を右手首に彫り、自身を鼓舞している。
ウッズのサンデー・レッドシャツ、マキロイのポウナム、シェフラーの長ズボン、エルスのボール、パボンやホーマのタトゥーという具合に、思いの託し方やゲン担ぎ、願掛けの方法は、人それぞれであり、欧米と日本とでは、少々感覚が異なるものもある。
だが、切なる思いを抱いてゴルフクラブを握り、夢が大きいほど、目標達成が難しいほど、それを叶えたいという思いを何かに託したくなることは、きっと万国共通なのではないだろうか。
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