「石破おろし」で「派閥」の影がチラついて…衆参過半数割れ、結党70年で迎える「自民党システム」崩壊の兆し

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派閥の存在自体はやむを得ない

 ただし、政治改革後も、組閣する時にどの派閥から大臣を何人出すというような、ポストを配分する機能は残り続けました。総裁戦で味方になってくれた派閥は手厚く処遇して、敵対した派閥は冷遇する。そこでうまく立ち回ったのがかつての二階派でした。数は力なり、所属議員の多さを武器にポストをぶんどってきて、二階さんの下に新たな議員が集まってくる。これは55年体制崩壊以降、派閥の新しいあり方でした。

 しかし、一連の裏金問題で麻生派以外の派閥は解消された。最初の話に戻りますが、今後も総裁選をやる限りは党内が敵・味方で分かれるので、議員票で何票を集めるか、最後の最後は旧派閥の枠組みで動いていくことになるでしょう。普段からポスト目当てで集まるというわけにもいかないですから、勉強会など政策単位で集まりながら、最後は総裁選で誰につくかという時に結集していく。

 かつてのように派閥事務所があるとか、事務局長がいるとか、そうした準公式の組織として存在するのではなく、非公式のグループという単位で総裁を狙う有力者を支えるグループが自然と形成されていくのではないでしょうか。

 そうした派閥の存在自体はやむを得ないと思います。派閥を完全になくすということは公選制を否定していくことになるので、結局、自民党が共産党や公明党のような組織になることも意味します。党中央や執行部が党のことをすべて決めて、そこでの決定は原則的に全議員と全党員が従う。そういう政党モデルもあるわけですが、自民党やそれに類する巨大政党で、同じことをやるのは現実的ではないし、望ましくもないでしょう。

耐用年数を超えている

 では、少数与党に転落し、非公式のグループが党内に乱立する自民党が再び、衆参過半数を取り戻す可能性があるのでしょうか。これは非常に難しい。少なくとも参議院については、議席数が3年間は変わらないわけですし、参院で過半数を取り戻すことは絶望的にも思え、連立拡大か、何かしらの閣外協力によって、協力してくれる政党や議員を取り込んでいく必要がでてきます。すると、自公政権の衆参における単独過半数回復は将来的にも厳しいでしょう。

 このことが意味するのは、派閥をはじめとした「自民党システム」が歴史的な耐用年数を超えてきているということかもしれません。55年体制が93年に終焉し、しかし、その後も他党との連立など違うシステムを導入しながら、なんとか自民党システムを残存させてきた。いよいよそのシステムの賞味期限が終わろうとしている。

 ただし、当面は自民党が「与党としては弱すぎるけれども、野党としては強すぎる」という状況が続きます。その点、「自民党政治が終わり」と言い切れないのが難しいところで、自民党システムは終わりかもしれないけれども、それに代わる政治の形が見えているわけではない。今後も政治的に非常に不安定な状況が続いていくように思います。

デイリー新潮編集部

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