夏の甲子園に2年生の新スター候補が登場! 聖隷クリストファー・高部陸は“学業優秀” 有名大学とプロが獲得を巡り水面下で「情報戦」も

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 夏の甲子園に新たな“スター候補”が現れた――。聖隷クリストファー(静岡)のエース、高部陸が聖地のマウンドで躍動する。夏の静岡大会は5試合に登板して、わずか3失点でチームを春夏通じて初の甲子園出場に導いた2年生左腕は、8月9日の茨城代表の明秀日立戦。被安打4、自責点0、1失点完投で鮮やかな全国デビューを飾った。【西尾典文/野球ライター】

まだまだ良くなる

 ストレートの最速は145キロをマークし、変化球も駆使して最後まで相手打線に的を絞らせなかった。9回に入っても、球威、制球ともに落ちないスタミナはとても2年生とは思えなかった。

 敗れた明秀日立の金沢成奉監督も、高部に脱帽だ。

 金沢監督は、光星学院(現・八戸学院光星)の監督時代に坂本勇人(巨人)を育てたほか、明秀日立の監督に就任すると、細川成也(中日)や増田陸(巨人)ら好打者を指導しており、打者の育成に定評がある。

「完敗です。もっと速球中心でくると思っていましたが、丁寧に抑えられました。バットを短く持たせたり、打席での立ち位置を変えたりしましたが、常に気持ちよく投げさせてしまいました」(金沢監督、試合後のインタビュー)

 一方、スカウト陣は、高部の投球について「まだ2年生なので参考程度」と前置きしたうえで、以下のように話してくれた。

「よく腕も振れていて、打者に向かっていく姿勢が良いですよね。ストレートでどんどん押すだけでなく、変化球の使い方も上手い。(身長174㎝、体重68㎏で)体が細いことを考えても、鍛えていけば、まだまだ良くなると思います」(パ・リーグ球団スカウト)

 2年生の夏でこれだけのパフォーマンスを見せれば、当然、来年のドラフト候補に浮上する可能性は極めて高いだろう。

 しかし、高部の進路について、早くも気になる話題が出ている。高校卒業後にプロ入りを目指すのではなく、大学進学を基本線にして考えているというのだ。

 その理由について、東海地区担当のスカウトはこう話してくれた。

「高部は埼玉の出身で、自ら希望して静岡にある聖隷クリストファーに進学したのですが、入学当初から評判になっていました。よくよく関係者に話を聞くと野球だけじゃなく、学業の成績もかなり優秀だそうです。学校側でも『なぜこんな野球も勉強もできる子が来てくれたのか』と話題になったそうです。聖隷クリストファーは偏差値が高くなく、有名大学に進学している例もごく少数です。そういう評判は当然、関係者の間にも広がりますから、(野球が強く、偏差値が高い)複数の有名大学も、かなり早くからアプローチしていると評判でした。有名大学の進学実績ができれば、高校側としてもありがたいですから、当然、話は聞きますよね。プロ側からすれば、プロ志望届を出すまでは交渉できませんから、そのあたりは難しいところですね」(東海地区担当スカウト)

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