爆笑問題・太田光が「負けてらんないね」と対抗心 「とがっている」実力派コンビの名前

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大学生の頃にコンビ結成

 番組のエンディングで数組の芸人が舞台に現れた際にも、ナインティナインの矢部浩之が、「今日の暴れん坊は爆笑問題よりも真空ジェシカだった」という趣旨の指摘をした。すると、爆笑問題の太田光が「負けてらんないね」と対抗心を燃やしていた。

 真空ジェシカの2人は大学生の頃にコンビを結成した。当時から川北のセンスは際立っていて、アマチュアでありながらピン芸人の大会「R-1グランプリ」(当時の表記は「R-1ぐらんぷり」)で準決勝まで進んだこともあった。コンビを組んですぐにネタ番組にも出演することができて、彼らは若手の注目株として一時的に脚光を浴びた。

 ただ、どんなときにも自分たちのやりたいことだけを貫くスタイルがなかなか理解されず、ブレークには至らなかった。客に合わせるような姿勢が一切見られなかったことから「とがっている」と思われることも多かった。

 そんな中で、2021年に初めて「M-1」の決勝に進んだことで道がひらけた。徐々に彼らのキャラクターが理解され、それが面白がられるようになっていった。

 最近の芸人志望者の中では、真空ジェシカに憧れを抱いている人も多いという。たしかに、好き勝手に暴れ回ってやりたいことを貫く彼らのスタイルは魅力的だ。ただ、表面的に真空ジェシカの芸風をなぞるだけでは、多くの人の支持を得ることはできない。

 ここ数年で真空ジェシカの知名度は飛躍的に上がったが、彼らの芸風はその前後でほとんど変わっていない。「とがっている」と言われていた部分が変わって丸くなったわけではないのだ。ただ、笑いを取り続けて、実績を残したことで、世間の見る目が変わった。媚びない笑いを貫く真空ジェシカは、今の時代には貴重なお笑いアーティストである。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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