女子ゴルフ「日本の黄金時代が始まった」と米メディア 全英女子OPトップ5に3名、世界ランキングトップ15に3名…宮里藍に続く1位奪取に期待
宮里藍は4年超をかけて1位に
ところで、日本の女子選手のロレックス・ランキングを振り返ってみると、1位に輝いたことがあるのは、米LPGAで通算9勝を挙げた宮里藍、ただ1人だ。
2009年にエビアン選手権で悲願の初優勝を挙げた宮里は、2010年には次々に勝利を重ね、ショップライトLPGAクラシックを制して通算5勝目を挙げた。そして翌日付けのロレックス・ランキングで、ついに1位になった。
不動裕理は2006年に3位、畑岡奈紗は2019年に3位、笹生優花は2021年に5位まで上昇した。
山下は今年の全英女子オープン優勝によって、ランキング6位に浮上。この位置づけを過去に上回った日本の女子選手は前述の4名のみで、中でも宮里の1位は光り輝いている。
とはいえ、2006年に米LPGAデビューした宮里が、ロレックス・ランキング1位に到達するまでに4年超の歳月を費やしたことを思えば、ルーキーイヤーに早くもランキング6位まで浮上している山下は驚くほどのスピード出世である。やはりルーキーで現在ランク11位の竹田、米LPGA2年目でランク12位の西郷も、然り。
そして、何より注目したいのは、ロレックス・ランキングで上位に付けている日本勢が、「今」という同時期に複数いるという点だ。
「束」になって上位に位置する強み
これまでロレックス・ランキングで上位に食い込んだ日本の女子選手は、それぞれの時代において、文字通り、世界の舞台で孤軍奮闘していた。
宮里はその典型で、日本のファンの視線や期待を一身に受け、常に重圧を感じながら必死に戦っていた。彼女の心身にかかっていた負荷はとんでもなく大きく重く、それを跳ね除けながら結果を出すことは、離れ技に近いものだった。
しかし今は、世界のトップ15以内に山下、竹田、西郷の3名が付け、21位には古江彩佳、29位には岩井明愛、32位には岩井千怜もいる。
日本勢が「束」になって上位にひしめいていることは、お互いの安心感にもなり、期待や重圧が分散されることにもなる。何より、お互いに刺激し合うことにもなり、選手たちにとって、いいことずくめだ。
ファンの側から見ても、「束」になって上位に位置している日本勢の中から、誰かが抜け出すのではないか、誰かが1位に輝く日が来るのではないかという具合に期待を膨らませることができる。
不調や故障、傷病によって1人が少々ランクダウンしても、日本勢全体の勢力は簡単には揺らがない。戦国武将の毛利元就が息子たちに説いた「三本の矢」の逸話のような状況にある。
世界の上位に「束」で浮上している日本勢は、だからこそ「強い」「負けない」。そう思えることは、日本の女子選手たち全員にとって、大きな力になっているのではないだろうか。




