「3カ月離脱」で「佐々木朗希」に先発ローテの椅子がない 「リリーフ起用説」浮上もその適性は?

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 新人王候補との触れ込みで、開幕前はメジャーリーグで最も注目される存在の一人だったドジャースの佐々木朗希。ところが新たな環境下で制球難が露呈すると、持ち前の速球も威力を失い、8試合の登板でわずか1勝、防御率は4.72と期待を裏切った。

 5月中旬には右肩のインピンジメント症候群を発症し、負傷者リスト(IL)入り。リハビリは3か月目に突入したが、今月下旬のメジャー復帰を目指している。

 現地5日(日本時間6日)には、久々に報道陣の取材に応じ、前向きな言葉を並べた佐々木。予定通り復帰にこぎつけたとして、23歳の右腕が担う役割はあるのか。ドジャース投手陣の現状と佐々木の今後を占った。

【八木遊/スポーツライター】

 ***

第4の球種を習得へ

 約3か月ぶりの取材で、右肩の状態を聞かれた佐々木は、「健康面はだいぶ良くて、不安も痛みもない。今は技術的なところに重点を置いている」と、右肩の不安は払拭済みで、すでに次のステージに向かっていることをアピール。「なぜ痛いのかも分かった。それを投球フォームにどう落とし込んでいくかみたいな作業をやって、そこから(状態が)良くなりました」と、復帰に向けて前進していることを明かした。

 さらにこれまで投げていなかったツーシームの習得にも着手していることを明言。ストレート、スプリット、スライダーに次ぐ第4の球種を習得できれば投球の幅も広がるだろう。

 同日には、ロバーツ監督も佐々木の現状に言及した。復帰後の役割について「現時点では先発投手として考えている」と話す一方で、「先発ローテーションがどうなるか分からないので、今は調整を継続しつつ様子を見ていきたい。もし変更する必要が生じればその時に考える」と、佐々木の先発ローテーション入りに関して明言を避けた形だ。

 ロバーツ監督の発言も当然といえば当然だろう。ドジャース先発陣は春先に負傷者が続出し、頼れる先発投手は山本由伸だけという状況が続いた。しかし、5月にクレイトン・カーショーがメジャー復帰を果たし、その後も安定感あふれる投球を披露。6月に大谷翔平が2年ぶりの電撃登板を果たすと、タイラー・グラスノー、ブレーク・スネルといったエース級が次々と戦線に復帰している。

“飽和状態”のドジャース先発陣

 現在は、名前が挙がった5人にエメ・シーハンを加えた6人でローテーションを回しており、“空き”はない状態。山本に次ぐイニング数を投げていたダスティン・メイをレッドソックスに放出しており、むしろ“飽和状態”ともいえるだろう。この6人から負傷者でも出ない限り、佐々木が割って入る余地はなさそうだ。

 そんな先発陣とは対照的なのが、開幕から崩壊状態だった先発陣の負担を一手に引き受け、酷使を強いられてきた救援陣である。この数週間の間に、タナー・スコット、マイケル・コペック、カービー・イエーツら実績ある救援投手が次々と離脱。ロバーツ監督も試合終盤の投手のやりくりに苦戦している。指揮官が佐々木の起用法に関してブルペンへの配置転換に含みを持たせたのもチーム事情によるところが大きい。

 佐々木自身も「まずはどの立場でも(チームに)貢献できるようなパフォーマンスを出すことが大事。立場にかかわらず、メジャーレベルでしっかり抑えられるようなパフォーマンスを出すことが先で、起用方法は僕が決められることじゃない」と与えられた役割を担う覚悟をにじませており、新たな役割を与えられる可能性は十分あるだろう。

 佐々木はメジャーでも屈指の剛速球を誇る投手だけに短いイニングでより威力を発揮してくれるという期待をチームが抱いていてもおかしくない。ただし、佐々木はロッテ時代を含めてプロ入り後に一度もリリーフで投げた経験がない。ロッテ時代の2023年クライマックスシリーズでブルペン待機をしたことはあったが、登板の機会は訪れなかった。

次ページ:ロッテ時代から立ち上がりに課題

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。