ビシエド&フォードがDeNAに入団 過去の“出戻り外国人”はどのぐらい活躍できたのか? 編成担当者は「日本に骨を埋める覚悟で来る選手はまずいない」と厳しい評価

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 後半戦に突入したプロ野球のペナントレース。7月末で補強が可能な期間も終了し、現在、支配下登録されている選手で戦う。“駆け込み補強”で活発な動きを見せたのが、DeNAだ。マイナーリーグでプレーしていた藤浪晋太郎を獲得すると、さらに、昨年まで所属していたフォードに加えて、中日で長年活躍したビシエドと外国人選手の補強にも踏み切った(※ビシエドは日本人選手扱い)。昨年の日本一チームとして、何とか最後まで優勝争いに加わり、最低でもAクラスに踏みとどまるという球団の強い意志が現れた補強だった。【西尾典文/野球ライター】

目立った成功例は見当たらない

 ただ、一方でこの動きに対しては肯定的な意見ばかりではない。フォードは昨年、ポストシーズンで活躍を見せたものの、レギュラーシーズンでは二軍でも2割台前半の低打率に沈み、ビシエドもここ数年は二軍暮らしが続いていたこともあって、戦力になるか疑問の声も少なくない。

 では、過去に一度NPB球団を離れて外国のリーグでプレーし、NPBに“出戻り”で復帰した外国人選手は、どの程度活躍しているのだろうか。

 近年、最も成功した例としては、マギー(元楽天、巨人)が挙げられるだろう。2013年に来日して楽天に入団すると、全144試合に出場して打率.292、28本塁打、93打点。見事な成績を残して、チームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。

 1年限りで楽天を退団して、その後は米国でプレーしていたが、2017年に再来日して巨人に入団した。

 1年目はセ・リーグ記録となる48本の二塁打を放ち、2年目も21本塁打、84打点と2年続けて中軸として十分な働きを見せた。

 2018年限りで現役を引退したが、NPBでプレーした3年全てで規定打席をクリアし、通算打率.298という成績は見事という他ない。プレーした期間は短かったものの、2010年代では屈指の名外国人選手と言えるだろう。

 しかし、過去10年で見てみると、マギー以外に目立った成功例は見当たらない。NPB、MLBの両方で実績を残した選手としてまず名前が挙がるのがチェン・ウェイン(元中日など)だ。大学生の時に台湾から来日して中日に入団。

 2009年には最優秀防御率のタイトルを獲得し、2010年には13勝をマークするなど先発で活躍した。

 2012年からは米国に渡ると、メジャーでも3度の二桁勝利を記録。マーリンズ時代はイチローともチームメイトとしてプレーしている。

 しかし、故障もあって2019年からはリリーフに転向。翌2020年にはオープン戦で結果を残せずに自由契約となり、シーズン途中にロッテでNPB復帰となった。

快音は聞かれず

 ロッテでは先発として試合を作りながらも、勝ち星に恵まれず4試合の登板で0勝3敗に終わり、その年のオフには退団。翌年には阪神に移籍し、NPBでは、古巣の中日戦で10年ぶりとなる勝利投手になったが、怪我もあってわずか2試合の登板で1勝に終わり、6月に退団した。その後は、米国の独立リーグでもプレーしたが、今年2月に現役引退が発表された。

 野手で記憶に新しいのがデスパイネ(元ロッテ、ソフトバンク)だ。“キューバの至宝”と呼ばれて、国際大会で活躍し、2014年にロッテに入団。2017年にはソフトバンクに移籍すると、いきなりホームランと打点の二冠に輝くなど、チームの黄金期を支える存在となった。

 2020年以降は故障の影響もあって、出場試合数が減少し、2022年オフに退団。翌2023年はキューバの国内リーグでプレーしていたが、外国人選手が苦しんでいたソフトバンクが6月に再び契約を結んで、再来日を果たした。

 ところが復帰早々いきなりヒットを放ったものの、その後は快音が聞かれず20試合の出場でわずか3安打、打率.071に終わり、オフには退団。ソフトバンクは、この年3位に終わり、3年連続でオリックスにリーグ優勝を奪われるなど、ちぐはぐな補強の代表例となった。

 過去には4球団でプレーし、NPBで9年目となる2010年に西武で最多セーブに輝いたシコースキー(元ロッテなど)、ともに2度目の来日で大きく成績を伸ばしたセギノール(元オリックス、日本ハム)とブラゼル(元西武など)、2006年に一度引退しながら2007年に復帰して2年続けて40本塁打以上を放ったタフィ・ローズ(元近鉄)ら、成功した例は少なくない。

 ただ、近年は目立った成功例は前述したマギーくらいで、今年復帰したバウアー(DeNA)とゲレーロ(ロッテ)も成績を落としている。

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