【原爆投下から80年】至近距離で被爆、「22度のがん」を乗り越え「原爆の恐ろしさ」を訴え続けた「兒玉光雄さん」の壮絶な人生
被爆80年の夏、広島で起きたこと……
奇跡の生還を果たした同級生たちとの交流や、22度のがんを克服した兒玉さんの生きざまなど、詳細は前掲書を読んでいただきたいが、被爆から80年、著者の横井氏に改めて話を聞いた。
「NHKでは今年、兒玉光雄さんの被爆体験を映像化したバーチャルリアリティ(VR)を制作しました。兒玉さんが残した手記や、彼の証言をもとに描かれた『原爆の絵』を参考に、当時12才の少年が見た惨状を、360度で映像化しました。賑やかな教室のひとときが閃光とともに一変し、焼けただれた同級生や、全身にガラス傷を負った友人たちと対面していく様子が、兒玉さんの肉声で伝えられていきます。技術的な限界もあり、制作に協力して下さった被爆者の感想は『まだまだ、こんなものではなかった』というものでした。もとより、あの惨状を再現することは不可能だと考えています。それでも、一人でも多くの人に、兒玉さんの思いや言葉が伝わればと思い、制作しました」
若い世代は、このVRをどう受け止めるのか――。8月10日、NHK総合で放送する「戦争をどう伝えていくか」の中で詳しく紹介するという。また、8月1日から31日まで、広島市の追悼平和祈念館や、埼玉県川口市のNHKアーカイブスでVRを視聴できる(13歳以上)。NHKのサイトでも動画で視聴することが可能だ。
「被爆80年の夏に、あの日広島で起きたことに想像を膨らませていただきたいと考えています」(横井氏)



