「高市早苗」フライング不発で今回も「首相の座」に届かなさそうな決定的理由
冷ややかな反応
しかし、一方で正論を通して突っ走った場合のマイナスを考えるのもまたトップの責務だと考える向きがいるのも事実だろう。そもそも安倍元首相も中韓やアメリカの猛反発を受け、1回で参拝を取りやめてしまっている。盤石の政権基盤を持つ安倍元首相ですら、この点においてはいわゆる「岩盤保守層」の期待には応えられなかったのだ。
「高市氏への投票を回避して石破氏に投票した議員にとって、靖国参拝発言を通じて、高市氏に“融通のきかなさ”“バランスの悪さ”を見た可能性もありそうです。投開票前々日のフライング発言しかり、米国との関税交渉についてXで“注文”をつけたりしていましたが、冷ややかな反応も少なくなかった印象です」(同)
今年5月には、麻生太郎最高顧問をトップに担ぎ党内保守派が集う「自由で開かれたインド太平洋戦略本部」の会合を開催した。
「高市氏がどこまで目論んでいたのかはわかりませんが、これを基盤に高市氏を総裁選などで支えていこうという動きには全くなっていません」(同)
裏金問題もネックに
「昨年の総裁選の決選投票で麻生氏は高市氏に乗りましたが、単に“石破嫌い”によるものでした。従って、次の総裁選で麻生氏や麻生派を頼れるかというとそんなことはないでしょう」(同)
高市氏は清和政策研究会(旧安倍派)に所属していたが2011年に退会し、その後は無派閥だった。
「頼れるとしたら旧安倍派ということになるわけですが、旧安倍派は裏金のイメージを完全に払拭できておらず、“シン自民党”を打ち出しにくい。そもそも去年の総裁選で高市氏の推薦人のうち13人が裏金議員とされたことも蒸し返されるでしょう。その後の衆院選と参院選でかなり落選してしまいましたが」(同)
23年ぶりに復党した自民党から参院選比例代表に立候補して当選した鈴木宗男氏は参院選大敗とその後の「石破おろし」について、「執行部の責任を問う前に、裏金問題のけじめをつけないと党の再生はない。責任は全員にあり、執行部だけに矢を向けるのはフェアじゃない」などと言及した。選挙後の大手メディアによる世論調査でも鈴木氏の発言をなぞるような反応が見受けられるようだ。つまり、問題は「石破自民党」ではなく「自民党」だという世論である。
石破政権誕生時、幹事長職以外は受けないとし、提示されたポストを拒否した高市氏は「筋を通してきた人物」と見られるか、それとも「党の再生に尽力しなかった人物」と見られるか。身内の評価は間もなくわかるだろう。
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