【実録・コンサルブラック時代】コンサル社員が派遣先企業で“スタバ禁止”を言い渡された「深い理由」とは

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「働き方改革」が進むコンサル業界では、かつてのように睡眠時間を削って深夜まで残業したり、体調を崩した社員が突然音信不通になったり、といった「ブラック体質」は徐々に薄れつつある。ただ、コンサル業界が“激しかった”当時を知る元社員は、「コンサルの仕事の過酷さは、長時間労働など“肉体的”なものだけではなかった」と振り返る……。

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※本稿は「週刊新潮」2025年8月7日号掲載【短期集中連載最終回 コンサル業界の光と影 「ホワイト化」する働き方と「AI」全盛で将来に暗雲】の一部を抜粋/編集したものです。

恨まれることの多い「企業再生のプロジェクト」

 2005年に総務省に入省し、13年に退官した後、「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」や「経営共創基盤(IGPI)」といった複数のコンサルファームを渡り歩き、現在は「元官僚芸人まつもと」として活躍している松本昌平氏はこう語る。

「コンサルの仕事はありがたがられることがある一方で、恨まれることも普通にあります。コンサルを使い慣れていない企業だと『こいつら何しに来たんだ』という目で見られがち。もちろん僕らのほうも企業の中に入って、あえて嫌われ役を演じることもあります。社内だと角が立って言いにくいことをコンサルが代わりに言ってあげるのです」

 恨まれることが多かったのが、企業再生のプロジェクトだ。

「このままだと潰れそうな会社に入り込んでいって、リストラしたり、事業ごとカットしたり。企業再生の案件ではその会社内にデスクをもらって常駐して作業に当たることが多いです。遠隔地なら会社の近くにホテルを借りて、毎日通うことになります」(同)

「スターバックスのコーヒーを持って出社するのはやめろ」

 こうした企業再生案件は、その会社に金を貸している金融機関からコンサルに依頼が来ることが多いという。

「金融機関から『この会社やばいから、立ち直らせるために入ってよ』、と。コンサルフィーは、その会社からもらいます。メインバンクなどに言われて、渋々金を払う。潰れそうになっている会社が自発的にコンサルに依頼することはあまり多くないと思います」(松本氏)

 マネージャー1人にコンサルタント2~3人のチームで動くと、発生する報酬が月に2000万円~3000万円ほどになるケースもある。

「その会社で働いている人に比べると、コンサルタントのほうが圧倒的に給料が高いことが多い。プロジェクトに入る前、パートナーから、スターバックスのコーヒーを持って出社するのはやめろ、と忠告されたことがあります。潰れそうな状態の彼らからすると、スタバのコーヒーは日常的に飲むものではない。自分たちがコンサルに払っている金で“こいつら、スタバ飲んでいるんだ”と思われてしまうから、と」(同)

 コンサルは“パフォーマンスが出るところに時間を使え”という考えが強く、移動時間を短くするためにタクシーに乗ることが多い。

「でも、潰れかけている会社に行くときはタクシーを使うな、と言われていました。使う場合でも、一つ前の交差点で降りて、そこから歩いて会社まで行け、と。これもお客さんに『こいつら贅沢な暮らししてる』と思われないように、です」(同)

 シビアな要求をする仕事だからこそ、そこまで気をつける必要があるのだ。

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