約3時間の「国宝」が大ヒットした理由とは？ “意外な関係者”も絶賛した歌舞伎界のリアル
歌舞伎をテーマにした芸道映画「国宝」が大ヒットしている。封切りから2カ月近くを経ても客足は一向に途絶えることなく、近年では異例の興行収入をなお更新中だ。一体全体、この勢いはどこまで続くのか。
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スキャンダラスな物語
映画は、吉田修一氏の同名小説が原作。主演は吉沢亮（31）で、任侠の一門に生まれた少年が歌舞伎役者になって女形としての才能を見いだされ、やがて人間国宝の地位を認められるまでの半生を描く。
「その主人公のライバル、大名跡のお世継ぎを横浜流星（28）が演じます。吉沢と横浜は撮影期間を含めて1年半、歌舞伎の稽古に励んだといいます。約3時間にも及ぶ本編には、彼らが演目を披露するシーンが何度も出てきますが、どれも美しく、見事というほかない。一方で、外からはうかがい知れない歌舞伎界の実情も描かれ、スキャンダラスな物語もまた魅力です。芸術性とエンタメ性が両立している点が大ヒットの理由でしょう」（スポーツ紙の映画担当記者）
週末観客動員数は初公開となった6月6日以降、7月の2週目まで5週連続で前週を超える伸びを記録。興行収入は7月22日、68.5億円を超えたと発表された。
プロをもうならせる“リアリティー”
「玄人筋からの評価も上々で、原作者の吉田先生はつい先日、芸者衆に取り囲まれていましたよ」
と言うのは、新橋の花柳界関係者だ。
「築地の料亭『新喜楽』で7月16日、第173回芥川賞・直木賞の選考会が開かれた際の出来事です。27年ぶりに両賞の該当作が選ばれなかった今回、選考会場には重苦しい雰囲気が漂っていました。そんな中、芥川賞の選考委員を務める吉田先生が会場を抜け出て建物内を歩かれていた際、居合わせた芸者衆に囲まれて『国宝』についての賛辞を浴びたといいます。先生の周囲がしばし、お座敷のように華やいだそうです」
選考会では、選考委員の作家に飲料などを運ぶ給仕役を新橋芸者が担う。その中の誰かが会場の外に現れた吉田氏に気付いたらしい。
先の記者が言う。
「歌舞伎役者は、ひいき筋の旦那衆に連れられてお座敷遊びをします。歌舞伎が上演される劇場で、芸者衆が踊る催事が開かれることもしばしば。そうした歌舞伎界との付き合いが深い芸者衆の多くが映画『国宝』にリアリティーを感じているようです。その世界に通じたプロをもうならせるくらいの作品というわけですね」
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