パ・リーグ新人王レース 楽天・宗山塁と西武・渡部聖弥が先行も…“高卒4年目の右腕”が追走!他球団のスカウトは「高校時代とは全く別人」
今年のプロ野球は後半戦に突入した。7月28日にセ・リーグの新人王レースに関する記事をデイリー新潮で寄稿した。それに引き続き、今回はパ・リーグ編をお届けしたい。セ・リーグは、阪神のルーキー・伊原陵人が頭一つリードしているが、パ・リーグは混戦状態で、しかもセ・リーグ以上にハイレベルな争いになっている(成績は7月27日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】
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只者ではない
ルーキーで新人王争いの先頭を走っている選手が、楽天のショート、宗山塁と西武の外野手、渡部聖弥だ。
明治大出身の宗山は、昨年のドラフトで5球団が競合となった目玉選手であり、高い期待に応えて開幕からショートのレギュラーに定着した。デビューからいきなり5試合連続ヒットをマークすると、5月以降は少し成績を落とすも、7月は3割近い打率を残すなど、ここまでチーム2位となる74安打を放っている。
守備は、10失策を記録しているが、たびたび好プレーを披露しており、チームに対する貢献度が高い。
楽天の球団関係者は、宗山の“凄み”について、以下のように話している。
「技術面ももちろん高いですが、あれだけ注目されながら常に落ち着いてプレーできるところが凄いですね……。浮ついたところが全くありません。状況に応じたバッティングや走塁ができるなど、いわゆる“野球脳”が高いところも評価されるポイントだと思います。プロに入ってから攻守ともレベルアップしていますし、怪我がなければ、しばらくショートに困ることはなさそうですね」
ちなみに、同じ東京六大学出身のショートで比較されることも多い鳥谷敬(早稲田大→阪神、ロッテ)の1年目の成績をみると、101試合に出場して59安打、打率.251。宗山は、既に安打数で鳥谷を上回っている。
チーム事情が異なるため、単純比較はできないものの、ショートという負担の大きいポジションで、これだけの好成績を残している宗山は、やはり只者ではない。
宗山に負けず劣らず、渡部もシーズン序盤に強烈なインパクトを残した。開幕戦からいきなり5番で起用されるとヒットを量産すると、5月上旬まで4割を超える打率をキープして見せた。
その後は、プレー中の怪我で2度登録を抹消されているものの、ここまで56試合に出場し、60安打、6本塁打、23打点、打率.278と見事な成績を残している。このまま順調にいけば、100安打、10本塁打も十分に射程圏内に入る。
打撃に注目が集まることが多い渡部だが、外野の守備力も高く安定したプレーを見せている。宗山に比べて、長打力がある点は大きな強みだ。後半戦にホームランを量産すれば、新人王を狙えそうだ。
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