カナダのコンビニ大手が「セブン」買収提案を撤回 外資の決断の裏にあった“ホントの事情”

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ACTが買収を諦めるのは“予想の範囲内”

 7月16日、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール(以下ACT)」が、セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン社)への買収提案を撤回すると発表した。

 ACTのセブン社買収提案が明らかになったのは、昨年8月のこと。それから1年間、両社は丁々発止の交渉を続けてきたわけだが、今回、撤回表明を受けて出されたセブン社側のリリース(7月17日)によると〈想定され得たものとして受け止めております〉としている。セブン社にとって、ACTがいずれ買収を諦めるのは“予想の範囲内”だったというわけか。

 全国紙経済部のデスクが解説する。

「ACT側は撤退の理由として“建設的な協議の欠如”やデューデリジェンス(事業内容の調査)のための資料が限定的などとしていますが、セブン社は、買収提案を受けるとすぐに社外取締役だけで構成される『特別委員会』を立ち上げ、提案の是非を検討しています。結果、ACTがセブン社を過小評価していると伝えると、ACTは最初の6兆円から7兆円にまで買収額を引き上げた。しかし、今度はセブン社の創業家が9兆円規模のMBO(経営陣の自社株買収)を検討していることが報じられ、ACTはさらなる買収額の引き上げも検討せざるを得なくなったのです」

買収提案を利用してグループを整理

 一方でセブン社側は、イトーヨーカドーなど、低収益のスーパーやショッピングセンターを中間持株会社に移し、コンビニ事業に集中する姿勢を明確にしている。いうなれば、買収提案を利用してグループの整理に着手したわけだ。

 片やACTはというと、6月25日に明らかになった通期決算で、3.6%の減益となり、直近の四半期でも4.3%の減益を記録。株価も一時はセブン社に買収提案をした頃より1割近く下がってしまったのである。

「当初、ACTは自社の大株主であるカナダの年金基金から買収資金を調達しようとしていましたが、株価が下がったことで、それどころではなくなってしまった」(前出のデスク)

 そこで、セブン社を育てた元最高経営責任者の鈴木敏文氏に聞くと、

「何か決まったことがあったら、私のところにも報告がありますが、まだ聞いていません。グループ再編といっても変わっていませんよ。ヨーカドーやヨークベニマルもグループ内にとどまっているじゃないですか」

 セブン社側からすれば、ACTが“自滅”するのを待つだけだったのだろう。

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