「今年の代表校、うちの甥っ子の学校なのよ」 地方では“高校野球が生活の一部”の実態を佐賀県に移住したネット編集者が明かす

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まさか高校野球を見に行く日が来るとは

 第107回全国高等学校野球選手権大会(8月5日~22日)の各地の代表が次々と決まっているが、地方では、高校野球が極めて重要な存在であることを実感している。私は2020年11月まで東京に住んでいて、その後、佐賀県唐津市に引っ越したのだが、東京時代にはとんと関心のなかった高校野球が気になって仕方なくなったのだ。

 佐賀県大会には36校が出場するが、これは私の地元である西東京の131校より随分少ない。となると、知人が卒業生である割合は高くなるし、知人の息子が野球部の選手だったりもする。この4年間仲良くしている友人の息子・D君は特待生として強豪校に2023年に入学したが、今回の決勝戦をスタジアムで生観戦した時は感慨深かった。

 2023年の正月、友人の一族が集う新年会でD君は野球に懸ける思いを演説。甲子園を目指すと宣言したのだ。その堂々とした姿に感銘し、1万円のお年玉を渡した。そんな彼は私の誕生日が近い時、弟2人と妹とともにサプライズで「誕生日おめでとう!」の横断幕を用意してくれ、いかに彼の父親(私の友人)が、私に励まされたか、仕事でも辛かったが心の安寧に繋がったか、などをスピーチし誕生日を祝ってくれた。

 友人とその妻は、野球に打ち込む3人の息子の送り迎えをし、週末はそれで終わる。試合に勝てば保護者も交えて打ち上げをするなど、野球とともに生活があるのだ。県内のある市の強豪校で以前講演をさせてもらった際、窓口になったのが野球部監督の好人物だった。奇しくも友人と同氏の高校が準々決勝で激突し、両方を応援しつつ、やはりD君のチームに肩入れするという状態でネット中継を観戦した。

 決勝戦は佐賀市まで観戦に行ったが、まさか高校野球を見に行く日が来るとは思わなかったし、新聞のトーナメント表を毎日関心をもって見るとも思っていなかった。県大会中は飲食店や青果店・鮮魚店・精肉店でも野球中継がテレビで流れており、従業員は手が空いている時は熱心に試合を見ている。「ここ、ウチの甥っ子が通ってるのよ」なんてことも言う。

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