プッチンプリンだけではない…表に出ない「やらかし案件」から学ぶ「コンサルのお仕事」 「元官僚芸人まつもと」がコンサル時代に経験した“地獄”とは
「元官僚芸人まつもと」として活躍する松本氏の体験談
「以前、ある大手企業の新規事業を構築するというプロジェクトに参加したことがありました。それが自分のコンサル人生の中で最も大変だった“炎上プロジェクト”です」
そう語るのは、2005年に総務省に入省し、13年に退官した後「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」や「経営共創基盤(IGPI)」といった複数のコンサルファームを渡り歩き、現在は「元官僚芸人まつもと」として活躍している松本昌平氏である。
「今やっている事業で儲けを維持できなくなったときのために“新しいビジネスの柱を作らなきゃ”と考える。大企業ではよくあるプロジェクトです。本業と親和性がある事業にはどういうものがあるのか。そういうことを検討し、ミーティングを重ねていくわけです。期間は3カ月、マネージャーの下にコンサルタントが3人ついているくらいの規模のプロジェクトでした」
松本氏がプロジェクトにアサイン(参加)した時点で、すでに新規事業の候補は三つに絞られていた。
「三つのうち最も有望株だった一つを深掘りしましょう、という段階で私が入ったわけです。私はコンサルタントとして参加していました。このプロジェクトの際、私たちはお客さんの会社に常駐することなく、基本的に東京の本社で作業や打ち合わせをしていました。戦略系の案件の場合、お客さんの会社に常駐することはあまりありません」(松本氏)
新規事業の有力候補となっていたのは物流系のビジネスだった。
「具体的には、バイオ製品の輸送事業への参入を検討していました。バイオ製品は腐らないよう、クール便のように温度管理したトラックで輸送する必要がある。その上、世界中で流通する物ですから、飛行機で輸送する際のコンテナでも温度管理が求められます」(同)
しかし、不測の事態が起きてしまう。
「『ノックアウトファクター』が出てきてしまったのです。この業界でよく使われる言葉なのですが、要はその企業が事業に参入できない要因が出てきてしまったわけです。儲かる、儲からない、の前に『やれない』ということです。その結果待っていたのは連日のように続く徹夜作業。地獄ですよ」
〈【プッチンプリンだけではないコンサルの「炎上案件」 当事者が証言した“地獄の日々”から浮かび上がる業界の“闇”】では、有名コンサルファーム元社員や、「元官僚芸人まつもと」氏をはじめ、コンサルで働く当事者たちに徹底取材。その証言から分かった数々の「炎上案件」も参考にしながら、コンサルという仕事の“リアル”について約6000字にわたって詳報している〉
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