目の前にあるクラシカルな椅子を見た「紗倉まな」から次々に“想像”が…止められない「考える癖」

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インタビュー第1回

 AV女優として活動する一方で、作家としても注目を集める紗倉まな(32)。新刊『犬と厄年』(講談社)は、noteアプリやかつて文芸誌に寄稿していたエッセイを集めた1冊だ。書くことで「自分の感情をデトックスする」という紗倉に、執筆への思いを聞いた。(全4回の第1回)

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 三十路を迎えてからの変化や愛犬の「イッヌ様」を迎え入れてからの心境の変化、これまであまり感じたことのない身体の変化も含めて、今までのエッセイ以上に「自分のことを書けた本」になったと実感しています。

 個人的に、「表紙にワンちゃんのイラストが添えられている本を、人生に一度は絶対に出したい!」と思って憧れていたので、完成された装幀を見た時は本当に嬉しかったですね。

 あとがきに「エモい出来」という表現を使っているのですが、これは、過去に住んでいた家での出来事の話を綴った六年前のエッセイ(文芸誌『群像』に寄稿)や、犬を迎え入れてからの今の家での生活など、私自身の人生における「日常と家の変遷」が詰まった本だと感じているからです。過去に寄稿したエッセイを含めたことで、期間でいうと、一番、私の長い記録となる一冊になりました。

 noteで書くことと、本のような出版物で書くことでは、感覚が全く違います。noteは、本当にただ単純に自分が書きたいことを書きたい時に書くだけで、締め切りもなく、テーマも自分が書きたいことだけですし、一切の校閲も入りません。

 しかし、連載となると、出版社さんの企画意図や、どのように進めていきたいかという方向性を合わせる必要があります。noteに書いた原稿は、誰にも口出しされていない状態で自由に掲載していたので、改めて読み返すと誤字脱字など修正箇所がたくさんあったのですが、それについては敢えて直さないまま今も残しています。

 執筆活動は決まったルーティーンもなく、移動中にも行っています。何かを思いついた時に、すぐにパッパッとiPhoneに打ち込むんです。私の場合、入力が速いので、頭で考える速度と打ち込む速度が合う。ただ、その分、指がつってしまうこともありますが……(笑)。

 面白いことに、iPhoneで書くとSNSに投稿する際のような非常に気楽な感じで書けるのですが、パソコンで書くと少しかしこまった文章になる傾向にありますね。

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