参院選「選挙特番」で日テレ「zero選挙」がテレ朝「選挙ステーション」を破った理由…「名物ジャーナリストの不在」を惜しむテレビ関係者も

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フジテレビの敗因

 太田が神谷氏に「個人攻撃はやめていただきたい」と熱弁を振るうと、神谷氏も「個人攻撃はしていない」と紳士的に応じた。

「これまでTBSさんの特番で太田さんは“暴れ馬”として物議を醸す発言が目立っていましたが、今回は“不規則発言”は影を潜め、政治についても勉強を重ねてきた様子が垣間見えました。TBSさんはバレーボール中継のため午後9時から放送がスタートするというハンデを背負っていましたが、平均視聴率6・8%は大健闘だと思います」(同・プロデューサー)

 フジテレビ「Live選挙サンデー超速報」は4・8%で民放4位。メインキャスターを宮根誠司アナウンサーが務め、「Live News it!」の宮司愛海アナ、青井実アナのコンビが脇を固めたが、視聴率は不調に終わった。

「そもそも宮根さん、宮司さん、青井さんの3人では好感度に不安がありました。そして、その通りの視聴率になったと言えます。番組としては橋下徹さん、金子恵美さんのコメント力に期待していたと思いますが、それも不発に終わりました。例えば橋下さんは神谷さんにインタビューした際、『日本から米軍基地がなくなると、日本の防衛費はいくらにすべきと想定していますか?』と切り出しました。ただ、この論点だと視聴者の多くは関心を持てなかったのではないでしょうか。橋下さんに期待されていたのは参政党の大躍進に対するストレートな分析と、視聴者の関心が極めて高いと考えられる外国人と消費税の問題だったと思います」(同・プロデューサー)

池上彰不在の影響

 非改選議席を合わせると、自民党と公明党の与党は122議席、野党は126議席となった。意外に思う人もいるだろうが、実のところ与野党の差は4議席しかない。プロデューサーは「どの局も自民党が大敗したと強調し過ぎたと思います」と言う。

「率直に言って、どの局も冷静さを欠き『実のところ自公の議席は依然として多い』という事実を伝えませんでした。他にも『参院選なので国政に直結はしない』、『議席を伸ばせなかった立憲民主党』、『共産党が壊滅状態』、『チームみらいが1議席』、『注目の東京選挙区で女性4人が当選』といった興味深いトピックスも番組で触れることはありませんでした。こうして見ると、やはりテレビ東京さんの開票特番に池上彰さんが出演しなかったのは、返す返すも残念だったと言わざるを得ません」

 ジャーナリストの池上彰氏は公式のYouTubeチャンネルで今回の参院選でテレビの選挙特番には出演しないことを明らかにし、自身のYouTubeで開票状況を解説する生番組を配信すると発表した。

「池上さんと参政党の神谷さんがテレ東さんの特番でどんなやり取りをするのか見たかったと思った視聴者も多かったのではないでしょうか。池上さんのいないテレ東さんは、午後7時55分からわずか20分間の『選挙サテライト』を放送し、視聴率は2・6%でした。その前の午後6時半から『家ついていってイイですか?SP』を流し、何と視聴率は5・8%。フジテレビさんの特番は午後9時台で4・8%でしたから、テレ東さんが上回ってしまったのです」(同・プロデューサー)

必要だった池上彰氏

 池上氏は自身のYouTubeチャンネルで、「とりあえず私のテレビでの仕事は一段落かなって思った」と出演しない理由を説明した。

「池上さんの説明を額面通り受け取っているテレビ関係者は皆無です。あれほどのキャスターをテレ東さんが簡単に手放すはずがなく、今回は両者の間に何か見解の相違があって出演を見合わせたのではないかと囁かれています。最近の池上さんは日テレさんの出演も控えているように思います。とは言え、今回の参院選は兵庫県知事選のようにSNSで誹謗中傷が飛び交い、候補者が核武装に言及した参政党が躍進するなど、従来の選挙とは大きく異なる展開となりました。冷静沈着な池上さんの解説と総括が何よりも必要な選挙だったのではないでしょうか」(同・プロデューサー)

デイリー新潮編集部

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