12球団で唯一「勝率4割未満」のヤクルト 監督交代論の前に先行する高津監督への同情論
長期離脱者が続出
日本のプロ野球(NPB)は26日から後半戦を迎えるが、それは来季に向けた新体制が固まり始める時期でもある。両リーグで唯一勝率4割に満たないセリーグ最下位のヤクルトは借金(負け越し)22、首位阪神とのゲーム差は20で、1年契約の高津臣吾監督の去就が注目される。リーグ連覇後、今年も含めて下位に低迷を続ける球団内でくすぶっている点についてもお伝えする。
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今季のヤクルトの低迷理由について「故障による長期離脱者の続出」をあげる関係者は少なくない。前半戦終了時点で一軍登録を外れている主だった戦力は、塩見泰隆、村上宗隆、長岡秀樹、ドミンゴ・サンタナ、茂木栄五郎、石山泰稚、田口麗斗、高橋奎二といった面々になる。
「さすがにこれだけ長期離脱者が出てしまうと埋め合わせをするのは難しいかもしれません」
と、スポーツ紙デスク。
同情論
「例えばソフトバンクもケガ人続出などがあって一時最下位に沈みましたが、代わりに出場した選手が奮起し、現在は2位に位置しています。ソフトバンクのように選手層が分厚いチームはNPBで他にはなく、比べること自体ナンセンスなのかもしれませんが」(同)
ヤクルトの場合、今季並みと言える戦力だった2023,24年シーズンでも中日と最下位争いをした結果5位に滑りこんだ。「故障による長期離脱者の続出」だけを低迷の理由とするのは無理があるのかもしれがないが、それはさておき……。
「あるNPBの監督経験者は“ケガ人がこれだけ出て高津氏が監督をやっていることに同情する”と言っていました。高津監督には一時休養説も流れましたが、休養に至らなかったのは球団内に同情論がそれなりにあったからではないかと見られています」(同)
しかし、その一方で、こんな声もあったという。
衣笠会長と小川GM
「“ケガはつきものだけど、今季絶望といった厳しい状況にならないようにどうするかといったやりくりやメンテナンスは大事”といった厳しめの指摘も別の監督経験者からありました。ベンチのやりくりとは別の話としては、例えば塩見の扱いについての指摘も聞きました。彼はリードオフマンとして欠かせない選手とはいえケガが多いことでも知られています。それを見越して“早期にトレードに動いていれば一線級の投手を獲得できたはずだった”という声もありますね」(同)
これはもちろん監督というよりはフロントの領域。フロントにクールで長期的なビジョンが欠けているのではないかという指摘になるだろうか。下位に低迷すれば必ずと言ってよいほど出てくる問題点で、何もヤクルトに限ったことではないのかもしれない。
「ヤクルトで全権を握っていた代表取締役会長CEO兼オーナー代行の衣笠剛氏が今年2月に亡くなりました。衣笠氏はそれ以前から体調を崩して入退院を繰り返しており、小川淳司GMが全権をほぼ委嘱されていました。今季、高津監督が1年契約で指揮を執ることになったのも小川GMの考えからでしょう」(同)
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