さや氏は「核武装」肯定、トンデモ憲法案にオーガニック路線も… 「参政党」を理解できない人が見落としている“熱狂の本質”

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 7月20日に投開票を迎えた参院選で、破竹の勢いだった参政党。“日本人ファースト”を掲げ、過激な発言で話題を振りまく彼らは、なぜかくも多くの人々を熱狂させたのだろうか。

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さや氏は「私をみなさんのお母さんにして」と絶叫

 東京・芝公園。参院選の投開票を翌日に控えた7月19日、神谷宗幣(そうへい)氏(47)が代表を務める参政党のマイク納めにはせ参じた聴衆には、支持者ばかりでなくアンチもいた。主催者発表によると聴衆の数は2万人にも及んだという。

 東京選挙区から立候補したさや氏(43)の演説が終盤にさしかかると、東京タワーを背にした聴衆から“さやコール”が沸き起こる。感極まったさや氏は、

「今まで生きてきて一番幸せな日です。明日必ず勝利を手にして、私をみなさんのお母さんにしてください! 日本人のために働くお母さんにしてください!」

 と、絶叫する。

 ほんの数カ月前までは、知る人ぞ知る存在に過ぎなかった参政党。参院選での躍進ぶりには、だれもが目を見張ったにちがいない。

“オーガニック”路線もアピール

 政治部デスクが解説する。

「参政党は今回の選挙で全国比例と選挙区それぞれ7議席ずつ、計14議席を獲得しました。この改選では自民党、立憲民主党、国民民主党に次ぐ議席の多さで、公明党や日本維新の会を優に上回っています。まさに、自民大敗の立役者といえるでしょう」

“日本人ファースト”をキャッチフレーズとするこの政党は、

「帰化・永住権の要件の厳格化を含む外国人政策や減税を掲げて支持を伸ばしました。また、学校給食の有機食材使用推進などのオーガニック路線や、1人月10万円の子育て教育給付金をうたい、育児世代にもアピールしています」(同)

 また、「日本人の価値観を反映し、日本が自立するための理念が必要」として、独自の憲法の構想を練っているのも参政党の特徴である。公開されている「新日本憲法(構想案)」には、「法の下の平等」や「思想及び良心の自由」、「信教の自由」が明記されておらず、これを問題視する向きもある。

メインの支持者は40~50代の男性

 JX通信社の米重克洋代表によれば、メインの支持者は40~50代の男性。参政党の得票率の高さには二つの理由がある。

「まず、消極的な参政党支持です。1人しか当選できない1人区は、与党と野党第1党以外は擁立をためらうものですが、参政党はすべての1人区に候補者を擁立していました。これが“石破自民にも入れたくないし、立民にも入れたくない”という層の受け皿になりました」

 積極的な支持では、

「選択的夫婦別姓への反対や伝統的な男女の役割の尊重、外国人への厳しい政策などに共感した人たちにアピールした。その際、彼らの“日本人ファースト”というフレーズで、物価高に対する有権者の不平不満の原因を、外国人という存在に投影することにも成功しました」

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