「記録的猛暑」時代の住まい選び 20XX年のマンション資産価値を決める物件の“常識”とは

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 気象庁の発表によれば、今年の6月の日本国内の平均気温が「観測史上最高」を更新したという。さらに、東京都心では最高気温が30℃を超える真夏日が13日を数え、こちらも過去最高に。この記事の前編では、猛暑の時期に室内が暑くなってしまう「酷暑マンション」の見分け方について、マンションブロガー「マン点」氏のレポートをお届けしてきた。後編では、住まい選びの新たな常識となりつつある、「ZEH(ゼッチ)」について、引き続きマン点氏の解説をお届けする。

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かつては一部の高級住宅だけだった「高断熱」

 記録的な猛暑とインフレによる電気代の高騰というダブルパンチに見舞われ、マンション選びの価値基準が大きく変わりつつある。

 特に都市部では、夏場の冷房代が家計を圧迫し、「築年」や「立地」に加え、「省エネ性能」が住まい選びの新たな指標になりつつある。

 こうした背景から注目されているのが、「ZEH(ゼッチ)マンション」だ。

 ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称。住宅の断熱性能を高め、省エネ機器を導入し、太陽光発電などで創エネを図ることで、住宅が1年間に消費する一次エネルギーを実質的にゼロに近づける住宅のことを指す。

 マンションにおいてもZEHの考え方は導入されており、性能や設計条件によって、ZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Orientedの4つに分類されている(次表)。

 なお、東京23区を含む「地域区分6」では、強化された断熱基準(UA値0.6以下)が求められている。これは従来の住宅性能表示制度でいう「等級4」を超える、「等級5」に相当する水準である。

 かつては一部の高級住宅だけが満たしていた断熱性能が、今やマンションの新基準となりつつある。これは偶然ではない。社会と気候の変化が、基準の底上げを強く促しているのだ。

次ページ:2023年度の新築マンションの約3分の1がZEH

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