話題性だけでない 「ナダル」が大河ドラマに出演した深い理由 他の芸人と一線を画す存在感
「人間としての弱さ」表現
ナダルの持つ生来の顔の濃さ、言動の不可解さ、そして自他ともに認める「変人性」は、まさにそうしたニーズと見事に合致する。彼のような異形の人物こそが、現代のドラマにリアリティと奥行きを与えることになる。
バラエティにおいても、ナダルは自身の「人間としての弱さ」を表現の武器としてきた。養成所でも年上だからと最初は偉そうにしていたのだが、ネタ作りで結果が出ず、一番下のクラスに落とされていた。普段から自分を良く見せようとするあまり空回りして、逆ギレや意味不明な理屈で突っ走る姿は、時に笑いを超えて視聴者に恐怖すら感じさせる。しかし、それこそがナダルの持つ生身の人間らしさであり、彼が単なる芸人ではなく「生きたキャラクター」として視聴者の記憶に残る理由である。
実際、過去にはドラマや映画で俳優としての仕事も経験しており、多くのCMにも出演している。その演技に対しては業界内でも一定の評価が寄せられていた。今回の大河ドラマ出演はそうした積み重ねの延長線上にあり、制作陣がナダルの持つ唯一無二の存在感に賭けた結果であると言える。
芸人としての活動を基盤にしつつ、自身のキャラクターを極限まで突き詰め、バラエティと演技の境界を飛び越えたナダル。芸人としても俳優としてもつかみどころのない異様な存在感を売りにしている彼は、表現者としてまた新たなステージへと踏み出そうとしている。







