話題性だけでない 「ナダル」が大河ドラマに出演した深い理由 他の芸人と一線を画す存在感
「べらぼう」で表坊主役
コロコロチキチキペッパーズのナダルが、7月13日放送の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)に出演したことが話題になっている。一橋徳川家の当主・一橋治済を案内する表坊主の役をそつなく演じていた。
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バラエティ番組では悪気なく先輩芸人に失礼なことを言ったり、非常識な行動をしたりすることで知られる「怪芸人」のナダル。そんな彼が格式高い大河ドラマという舞台に役者として起用された背景には、単なる話題性にとどまらない深い理由が存在する。彼の表現者としての進化をたどることでその本質が見えてくる。
ナダルは大学卒業後に一度は会社員として働くも、芸人の道を志して養成所に入学した。同期の西野創人に誘われて2012年に「コロコロチキチキペッパーズ」を結成。それからわずか3年後の2015年にはコント日本一を決める「キングオブコント」で優勝するという快挙を成し遂げた。
この優勝によってコンビとして一気に全国区の知名度を獲得したが、その後はナダルという個人のキャラクターが圧倒的な存在感を放つようになっていった。最初はマスコット的なかわいげのあるキャラクターを目指していたのだが、「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の「ナダル・アンビリバボー」という企画で特異な素顔があらわになった。普通の人ができないような失礼な振る舞いをしたり、人前で堂々と愚痴をこぼしたりする。それを指摘されると無茶な言い訳をしたり、開き直って逆ギレしたりして、反省する素振りを見せない。
そんな彼の異常性は視聴者の記憶に強く焼き付いた。芸人仲間や共演者との噛み合わなさすら武器に変えたその振る舞いは、単なる「イジられ芸人」とは一線を画す爆発力を秘めていた。
ナダルの強みは圧倒的な異物感にある。画面に映るだけで空気を変えるその存在感は、映像作品においても重宝される。近年のドラマや映画では、整った顔立ちや典型的な演技力以上に、リアルなクセの強さや歪みが求められているところがある。
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