内田有紀の実妹を公表して話題の澪奈 なぜ芸能人の姉妹は「20代後半」でカミングアウトするのか 背景に焦りや承認欲求が

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知名度と引き換えに失う好感度 「兄弟姉妹」という切り札を切るタイミングの難しさ

 無名の新人が何百人いても記事にはならないが、「有名女優の妹」というだけで、話題性が生まれる。けれども「姉妹の名を出す」ことは、知名度が獲得できるというメリットばかりではない。姉が国民的女優、もしくはアイドルとして認知されている場合、妹がどんなに個性を出そうとしても、その枠組みの中でしか語られない。

 土屋炎伽さんは、ミス・ジャパンに選出されるなど華々しい経歴を持ちながら、結局「太鳳の姉」「美人だけどタレント力は未知数」という評価から抜け出せなかった。また有村藍里さんは当初「架純の姉」として紹介されたが、顔立ちや整形の話題ばかりが取り上げられ、なかなか本人の活動に注目が集まらずにいる。つまり「姉妹の名前」は、知名度というアクセルだけではなく、期待からの失望というブレーキの役割も果たしてしまうのだ。

「どうせ話題作りでしょ」「売れないから姉の名前出すんでしょ」とうがった見方をする視聴者に対し、彼女たちは「隠したくない」「誤解されたくない」、「姉妹には迷惑がかかるかもと黙っていた」と葛藤を語りがちだ。でも、知名度と引き換えに失った好感度を取り戻すのに必要なのは、謙虚さや人柄の良さではない。まず「姉や妹と似ていないことの証明」、次に「自分にしかできない表現」、そして「有名な姉妹を超える何か」である。だが、それらを短期間で提示することは極めて困難だ。

 本人がどれだけ努力しても、「姉や妹のファン」「姉や妹にしか興味のないマスコミ」「比較で消費したい視聴者」の三重苦がついてまわる。だからこそ、「姉妹」という切り札を早々に切ることは、もろ刃の剣でもある。注目は浴びられても、支持は得られない。澪奈さんが「ミスFLASH 2026」の冠を手にすることができるかは分からないが、いずれにせよ30歳手前で「内田有紀の妹」を名乗るその勇気の次は、「姉を超える個性」が求められている。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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