首位独走「阪神」を待ち受ける「死のロード」は過去の話? 「いまや“天国のロード”。灼熱の甲子園を避けられて、むしろ追い風になる可能性も」とレジェンドOB
今は“天国のロード”
2002年に星野仙一氏が阪神の監督に就任すると、「“死のロード”は死語」と発言し話題を集めた。
「昭和の阪神は“死のロード”に苦しめられましたが、確かに今の阪神は“天国のロード”だと私も思います。理由はドーム球場の誕生です。私たちが現役の時、プロ野球12球団の球場は全て屋外球場でした。試合前に真夏のグラウンドに水を撒くと水蒸気が立ちのぼり、選手はサウナに入っているのと同じ状態になったものです。苛酷な環境で投手は投げ続ける必要があったので、“死のロード”は特に阪神の投手陣を苦しめました。ところが今のセ・リーグは巨人と中日がドーム球場ですから、これだけでも選手の肉体的な負担は相当に軽減されます」(同・江本氏)
さらに江本氏は「何よりも京セラドーム大阪でホームゲームを戦えるようになったことが非常に大きいです」と指摘する。阪神の選手は自宅から通えるし、甲子園のナイターとは比較にならないほど快適であるのは言うまでもない。
「ちなみに私たちが現役だった時は、京都にある西京極球場でホームゲームを行っていました。確かに自宅から通うことはできました。しかし京都の夏が非常に暑いことは皆さんもご存知でしょう。実際、京都は盆地ですからナイターでも西京極球場には熱気が籠もっていて、非常に辛かったことは今でも鮮明に憶えています」
“死のロード”が追い風!?
それが今では空調の効いた京セラドーム大阪だ。江本氏は「隔世の感がありますよ」と言う。
先に見たとおり、今年の“死のロード”は8月1日から始まり、屋外球場である神宮球場での3連戦で幕を開ける。ところが、その次には移動日なしの9連戦が待ち構えている。
この厳しい日程は、さすがに“死のロード”という言葉に違わないという印象を受ける。とは言え、8月5日から7日はバンテリンドーム、8日から10日は京セラドームでの開催だ。11日から13日は屋外球場のマツダスタジアムでの3連戦が控えているとはいえ、9連戦のうち6試合がドーム球場というのは「昭和の阪神よりはマシ」とは言える。
“死のロード”が終盤を迎える8月19日と20日に京セラドーム大阪で2連戦が行われるのも選手には嬉しいのではないか。自宅でリラックスすることが可能だ。
こうして2025年の“死のロード”を詳細に見てみると、やはり京セラドーム大阪を使えることは非常にメリットが大きいようだ。選手の体力や気力が回復できるだけでなく、熱中症対策にもなる。むしろ真夏の甲子園を逃れられると積極的に評価することも可能だろう。
「日程の要所要所でドーム球場でプレーできるので、特に阪神投手陣の肉体的な疲労が軽減されるのは間違いないでしょう。今季の阪神は極めて好調ですが、こうなると“死のロード”が追い風になる可能性も否定できません。順調に勝ち星を積み重ねるのか、それとも違う結果に終わるのか、まさに要注目の8月だと思います」(同・江本氏)




