「レザボア」耳切りシーンが伝説に 「マイケル・マドセンさん」がタランティーノ監督作品に欠かせない存在になるまで

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タランティーノ監督のキャスティング

 タランティーノ監督の次作「パルプ・フィクション」(94年)では主役を打診されたのに先約を優先し辞退。縁は続き、「キル・ビル」シリーズ(2003年から04年)ではビルの配下の殺し屋に。復讐に来た主人公を返り討ちにする重要な役だ。

「キル・ビル」に料亭の女将(おかみ)役で出演した、女優の風祭ゆきさんは振り返る。

「三池崇史監督の『殺し屋1』で麻薬の売人役を演じた私を見た、とタランティーノ監督は指名してくださった。お会いした時、私が映画でした演技と同じ動作を監督がされて驚きました。覚えてしまうほどしっかり見ておられたのです。他にもこんな作品を見ていますよ、と話してくれました。監督がいかにキャスティングを大切にされているか、よく分かりました。俳優も監督の熱意に応えたい気持ちになります。現場でマドセンさんとお会いする機会はありませんでしたが、監督の最初の作品で出演しているとは、信頼されていた様子が伝わってきます」

家庭内暴力で逮捕されたことも

「ヘイトフル・エイト」(15年)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(19年)とタランティーノ監督作に出演を続ける。「007/ダイ・アナザー・デイ」(02年)など大作の脇役に登用される一方、端役でも断らない。

 3度結婚、子供の一人が22年に自ら命を断っている。昨年夏には家庭内暴力で逮捕されたことも。酒量が減らず、苦しんでいた。

 7月3日、自宅で意識不明で発見され死亡が確認された。享年67。事件性はなく心臓発作とみられている。

 これから公開予定の作品が残されていた。常に最高の脚本を選べるわけではない、役柄の影響で、実際以上に大きな存在に見られていたかもしれないと語っていた。外見はいかついが繊細な心の持ち主だった。

週刊新潮 2025年7月17日号掲載

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